文系WEBマガジン『ひとまとめ』7月号に掲載した小説「こいを失う」です。
失ってから気づくことってありますよね。そういうお話です。
こいを失う|ひとまとめ|水鳥葛 https://tales.note.com/mizudorikuzu/w0wu3oppzj978/episodes/ed2qp4709ls4o #Tales

75 寂れた屋敷のその中で(3) - 想花堂古書店、頁を捲る | TALES 物語・小説
しんと静まり返っている。 十分に時間を取った深澄と狐手は、そろりと部屋から抜け出した。 真っ暗な玄関ホール。 玄関の扉から奥にまた大きな扉が見えていた。まず、あれを開けてみようか。 ジェスチャーで狐手に伝えると、二人はそちらの方にそろそろと歩いていった。 深澄は静かにドアノブを回す。 すると、明るい光が深澄の目に入った。 今まで暗い場所にいたので、ただの部屋の明かりだと言われても、目に痛い。少しクラクラしながら目を慣らして行くと、そこには屋敷の廊下が見えた。 電気が付いている……。 おじさんが消し忘れたのだろうか。 もしかしたら誰かいる?それはもしかして……。 深澄は、ピンクの着物の







