文系WEBマガジン『ひとまとめ』7月号に掲載した小説「こいを失う」です。
失ってから気づくことってありますよね。そういうお話です。
こいを失う|ひとまとめ|水鳥葛 https://tales.note.com/mizudorikuzu/w0wu3oppzj978/episodes/ed2qp4709ls4o #Tales

74 寂れた屋敷のその中で(2) - 想花堂古書店、頁を捲る | TALES 物語・小説
屋敷は、しんと静まり返っていた。 屋敷の中に人がいるのかと思ったけれど、なんだか様子が違う。 内側から見る屋敷の塀は、所々崩れており、何年もしくは何十年も放置されている事が伺えた。 庭であってもそうだ。周りをよくよく見渡せば、手入れされた花などは咲いていない。咲いているといえば、何処かから飛んできた種が花咲かせた雑草ばかり。草もそうで、所々伸び放題になった芝生の中に、雑草の塊がゴロゴロと出来てしまっている。 人がいない……? そんな……。 ここに紗夜は閉じ込められているはずなのに。世話をする人が誰もいないだなんて事になれば……。 深澄は想像する。閉じ込められ、食事もなく朽ち果てていく






