3月31日、カナダに市場を抱える米消費関連企業にとって、トランプ米大統領の政策への反発を背景にカナダで広がる国産品購入運動(「バイ・カナディアン」)が新たな懸念要素として浮上しつつある。写真は「バイ・カナディアン」と書かれた横断幕。5日、マニトバ州ウィニペグの民家で撮影(2025年 ロイター/Ed White) - カナダに市場を抱える米消費関連企業にとって、トランプ米大統領の政策への反発を背景にカナダで広がる国産品購入運動(「バイ・カナディアン」)が新たな懸念要素として浮上しつつある。カリフォルニア州に拠点を置く紙おむつメーカーのパラソルは今年1月以来、ある卸売業者と手を組み、カナダ国内のコンビニなどへの販路拡大に取り組んできた、とジェシカ・ハン最高経営責任者(CEO)は語る。ところが3月上旬になって、この卸売業者がカナダでの反米感情の高まりを理由に仕事から手を引いてしまった。ハン氏は「卸売業者はある小売業者から米国ブランドの発売を中止するよう指示され、われわれに市場環境が許せば再検討すると伝えてきた」と明かした。ハン氏は「この種の混乱は全く想定していなかった。今までこのような事態が起きたのを聞いたことがない。かなりの逆風であるのは確かだ」と顔を曇らせる。2024年にはカナダへ3500億ドル弱相当の米国製品が輸入されていただけに、小売店の棚に並ぶ品ぞろえが愛国的な消費行動に基づいてがらりと変われば、影響は大きい。原因はトランプ氏にある。カナダは米国の51番目の州になるべきだといった発言や、カナダからの鉄鋼・アルミニウムへの25%の追加関税、またその他全てのカナダ製品に関税を適用すると脅していることなどから、カナダの多くの消費者の間で米国製品でなく国産品を買おうとの気運が高まっている。ハン氏の話では、パラソルはカナダの消費者向けに商品のラベル表示をフランス語にする作業を進めていた。また、ご破算になった卸売業者と共同での販路拡大作戦に投入する商品の選別を開始していたという。ケベック州サン・ジャン・シュール・リシュリューに住み、母親として医療保険業界で働くレベッカ・アスランさんは、自身が行ってきた国産品を探す取り組みをソーシャルメディアで披露している。アスランさんはロイターに対し、最近になって子どもの紙おむつを、カナダの数少ないメーカーであるアービング・パーソナル・ケアの商品に切り替えたと話した。「私はこれまで紙おむつがどこで製造されているか考えもしなかったが、明らかにカナダ製紙おむつは入手が難しい。こうした買い物は私たちにとって大きな変化だ」と付け加えた。アービング・パーソル・ケアは、国内各地の小売業者から販売量を増やしたいとの問い合わせを受けていると説明。事業運営担当副社長のジェーソン・マカリスター氏は「カナダで製造された唯一のブランド化された紙おむつとして、われわれの週当たりの出荷量は4倍になった」と胸を張った。<進出計画白紙化も>こうした現象は紙おむつだけにとどまらず、アルコール飲料や柑橘(かんきつ)系果実にも及んでいる。ウイスキーの「ジャックダニエル」を手がける米ブラウン・フォーマン(BFb.N), opens new tabは3月上旬、米国製のバーボンやウイスキーがカナダの酒店から撤去される事態は、カナダ政府による報復関税よりも痛手で、トランプ関税がもたらす不釣り合いなほど大きな副作用だと訴えた。米カリフォルニア州における柑橘系果実の輸出事情に詳しい関係者は同じく3月上旬、カナダの小売業者が発注を取り消したとロイターに語った。発酵飲料であるコンブチャの「シナジー」を販売し、米ロサンゼルスに本社を置くGT‘sリビング・フーズは、ウォルマート・カナダを含めたカナダの小売業者が、関税を巡る不透明感を理由に発注を減らしていると明らかにした。幹部のダニエル・ブコフスキ氏によると、ウォルマート・カナダやロブロー(L.TO), opens new tab、メトロ(MRU.TO), opens new tabなどに商品を卸している業者から、トラック2台分ではなく1台分の購入にとどめると連絡があった。関税問題の展開を見極めているためだという。米ペンシルベニア州の香水メーカー、ディメーター・フレグランシズは、年内に計画していたカナダ市場への進出を取りやめた。マーク・クレームズCEOは、カナダ国民の気持ちが米国製品から離れてしまっていると指摘。「市場進出は無駄な努力に思えるため、計画を単純に破棄した」と説明した。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tabNivedita Balu is a correspondent for Reuters based in Toronto, where she reports on Canadian banks and financial services. She previously covered U.S. tech, media and telecom companies, and consumer and retail companies in Bengaluru.New York-based reporter covering U.S. consumer products and the companies that make them, and the role they play in the economy. Previously reported on corporate boards and distressed companies. Her work has included high-impact stories on CEO pay, Wall Street bubbles and retail bankruptcies.
トランプ米大統領はカナダのカーニー首相と有意義な電話会談を行い、4月28日に予定されるカナダ総選挙後に会談を行う予定と明らかにした。2021年、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Jason Redmond)[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、カナダのカーニー首相と電話会談を行い、4月28日に実施されるカナダ総選挙後に直接会い、政治やビジネスなどについて協議することで合意したと述べた。トランプ氏は「極めて生産的な電話会談だった。われわれは多くの点で意見が一致している。カナダ総選挙の直後に会談し、政治、ビジネスなどあらゆる要素について協議する」と自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿。こうした協議は「米国とカナダの双方にとって素晴らしい結果をもたらす」とした。カナダ首相府は声明で、米国が4月2日に追加的な関税措置を発動する計画を踏まえ、カーニー首相は「カナダ政府は労働者と経済を守るため報復関税を実施するとトランプ大統領に伝えた」と明らかにした。両首脳はさらに、カナダ総選挙後すぐに、新たな経済・安全保障関係に関する包括的な交渉を開始することで同意したという。カーニー氏は27日、米国とカナダの長年にわたる互恵的な経済・安全保障上の関係は終わったと述べ、米国の関税の脅威への対抗措置について、あらゆる選択肢を検討すると表明している。 もっと見る 私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
11月25日、ブラジルのメディアによると、同国の食肉加工業者らが国内にあるフランス小売大手カルフール店舗への供給を停止した。写真はブラジルのサンパウロにあるカルフールの店舗。2017年7月撮影(2024 ロイター/Paulo Whitaker)[サンパウロ 25日 ロイター] - ブラジルのメディアによると、同国の食肉加工業者らが国内にあるフランス小売大手カルフール(CARR.PA), opens new tab(CRFB3.SA), opens new tab店舗への供給を停止した。同社のボンパール最高経営責任者(CEO)が仏農家と連携し、仏国内の店舗から南米産牛肉を排除すると発言したことへの反発という。報道によると、供給を停止したのはブラジル食肉加工大手JBS(JBSS3.SA), opens new tabやマルフリグ(MRFG3.SA), opens new tabなど。カルフール150店舗で影響が生じ、輸送も混乱しているという。一方、カルフールは「事実無根」と報道を否定。ロイターに24日、地元店舗への食肉供給は通常通りで、不足していないと説明した。ブラジル肉輸出工業会(ABIEC)は供給停止についてコメントしていない。先週の声明では、カルフールの南米産食肉排除方針について「矛盾している」と批判していた。同会によると、カルフールはブラジル国内で1200店舗を展開しているという。ブラジル政府もカルフールを非難。ファバロ農業相は、欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスール)の貿易協定締結を妨害する仏企業の「組織的な行為」との見方を示した。ボンパール氏はSNSで、協定締結により「食肉生産のリスクが仏市場に広がり、義務や基準を満たせなくなる」と指摘した。これに対しABIECは「仏農家を守ろうとするカルフールの保護貿易主義的な立場が同社の事業を弱体化させ、欧州市場を供給不足のリスクにさらしている」と述べた。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab