4月21日、中国の首都・北京にある米国料理店「ホームプレート・バーベキュー」ではスタッフがメニューの書き換えを進めている。写真は17日、北京市内のレストランで撮影(2025年 ロイター/Tiffany Le) - 中国の首都・北京にある米国料理店「ホームプレート・バーベキュー」ではスタッフがメニューの書き換えを進めている。米中貿易戦争を受け、近くメニューから米国産牛肉が消えるためだ。これまで同店で提供する牛肉は全て米国産だったが、現在は豪州産を増やしており、数週間後に米国産牛肉の在庫が底をつけば、豪州産のみを提供する。米国産牛肉は米中貿易戦争の影響を受ける数千品目の1つ。貿易戦争が始まる前から価格が高騰していたが、中国が既存の22%の関税に加え、125%の対米報復関税を課したことから「事実上、米国産の調達を続けることが困難になった」(同店幹部)という。米国産牛肉の対中輸出は月間1億2500万ドルと、巨額の米中貿易総額のごく一部に過ぎないが、今後、数千点の品目が米中両国で同じ運命をたどる可能性がある。ホームプレート・バーベキューは中国国内に3店舗を展開。ポークリブもカナダ産に切り替える計画という。北京の牛肉業者によると、市内のレストランでは、米国料理店も含め、牛肉を米国産から豪州産に切り替える動きが広がっている。米国産のブリスケット(牛の胸肉)は、近年の乾燥した天候を背景とする供給不足もあり、昨年5月から今年3月にかけて50%近く値上がりした。その後の関税導入で価格はさらに高騰、仕入れ価格は1年前の2倍近くに達している。豪州産のブリスケットは米国産より40%安い。ホームプレート・バーベキューでは数カ月前から試験的に豪州産牛肉を提供しているが、同店幹部は「米国産と遜色なく、顧客からも好評だ」と話している。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
中国は8日、カナダの農産物や食品の一部に関税をかけると発表した。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic) - 中国は8日、カナダの農産物や食品の一部に関税をかけると発表した。カナダが中国の電気自動車(EV)や鉄鋼・アルミニウム製品に輸入関税を適用したことへの報復とみられる。商務省によると、カナダ産の菜種油、油かす、エンドウ豆に3月20日から100%の関税を適用。水産物と豚肉に25%の関税をかけるとした。カナダは昨年、中国から輸入するEVに対し100%の関税を課すと発表した。中国製の鉄鋼とアルミニウムについても25%の関税を課す方針を示した。 もっと見る 商務省は今回、声明で、カナダの対中関税について「世界貿易機関(WTO)のルールに著しく違反し、典型的な保護主義行為であり、中国の正当な権利と利益を著しく害する差別的措置だ」などと批判した。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
11月25日、ブラジルのメディアによると、同国の食肉加工業者らが国内にあるフランス小売大手カルフール店舗への供給を停止した。写真はブラジルのサンパウロにあるカルフールの店舗。2017年7月撮影(2024 ロイター/Paulo Whitaker)[サンパウロ 25日 ロイター] - ブラジルのメディアによると、同国の食肉加工業者らが国内にあるフランス小売大手カルフール(CARR.PA), opens new tab(CRFB3.SA), opens new tab店舗への供給を停止した。同社のボンパール最高経営責任者(CEO)が仏農家と連携し、仏国内の店舗から南米産牛肉を排除すると発言したことへの反発という。報道によると、供給を停止したのはブラジル食肉加工大手JBS(JBSS3.SA), opens new tabやマルフリグ(MRFG3.SA), opens new tabなど。カルフール150店舗で影響が生じ、輸送も混乱しているという。一方、カルフールは「事実無根」と報道を否定。ロイターに24日、地元店舗への食肉供給は通常通りで、不足していないと説明した。ブラジル肉輸出工業会(ABIEC)は供給停止についてコメントしていない。先週の声明では、カルフールの南米産食肉排除方針について「矛盾している」と批判していた。同会によると、カルフールはブラジル国内で1200店舗を展開しているという。ブラジル政府もカルフールを非難。ファバロ農業相は、欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスール)の貿易協定締結を妨害する仏企業の「組織的な行為」との見方を示した。ボンパール氏はSNSで、協定締結により「食肉生産のリスクが仏市場に広がり、義務や基準を満たせなくなる」と指摘した。これに対しABIECは「仏農家を守ろうとするカルフールの保護貿易主義的な立場が同社の事業を弱体化させ、欧州市場を供給不足のリスクにさらしている」と述べた。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
中国を訪問中のスペインのサンチェス首相(左)は9日、中国の習近平国家主席(右)と会談し、欧州連合(EU)は中国との貿易紛争を回避できることを望んでいると述べた。同日撮影(2024年 ロイター/China Daily via REUTERS) [北京 9日 ロイター] - 中国を訪問中のスペインのサンチェス首相は9日、中国の習近平国家主席と会談し、欧州連合(EU)は中国との貿易紛争を回避できることを望んでいると述べた。EUは中国製の電気自動車(EV)に対して追加関税を検討している。政府関係筋によると、サンチェス氏は習氏との会談に先立ち、EUによるEV追加関税を課すなどの措置に関し、スペインとしては世界貿易機関(WTO)で交渉による合意に向けて努力すると述べた。サンチェス氏は「貿易戦争は誰も利さない」とした上で、中国企業と協力しながら公平な競争の場をつくりたいと述べた。中国の李強首相に対しては「公正な貿易秩序を守るために、共に橋を築きたい」とも述べた。中国は6月、EUから輸入する豚肉に対する反ダンピング(不当廉売)調査を発表。数日後にはEVを巡るEUとの摩擦が貿易紛争を引き起こす可能性があると警告した。さらに8月、中国はEUからの乳製品に対する反補助金調査を開始したと発表した。中国の税関データによると、2023年にスペインが輸出した豚肉は15億ドル相当と調査対象国では最大。次いでオランダが6億2000万ドル、デンマークが6億800万ドル。スペインが中国に販売する対象の乳製品の額は23年に5000万ドル弱だった。サンチェス氏は、中国国営メディアが示唆した中国がEUからの輸入大型ガソリン車の関税を引き上げる措置について、そうした反撃をしないとの保証を望んでいる。スペイン最大級の雇用主である、フォルクスワーゲン(VOWG_p.DE), opens new tab傘下の自動車メーカーSEATが打撃を受ける可能性があるためだ。中国は、中国製EVに最大36.3%の追加関税を課すという欧州委員会の提案を10月の投票で否決するようEU加盟国に働きかけている。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tabJoe Cash reports on China’s economic affairs, covering domestic fiscal and monetary policy, key economic indicators, trade relations, and China’s growing engagement with developing countries. Before joining Reuters, he worked on UK and EU trade policy across the Asia-Pacific region. Joe studied Chinese at the University of Oxford and is a Mandarin speaker.