恐山
大間でマグロを食べた後、向かったのは霊場・恐山でした。ここは私が以前から一度行ってみたいと思っていたところなのですが、それはなんとなく行ってみたいと思っていただけで、実際にどういう場所なのか予備知識はほとんどなく、ただ神秘的なイメージに憧れのようなものを感じていただけかもしれません。
恐山菩提寺というのがそのお寺ですが、入山料は700円です。雨がしとしとと降る天気もあって、訪れている人もわずかだったのですが、雨が音を吸収するせいか余計にひっそりと感じられて、とても神秘的な空気のお寺でした。お寺の境内には温泉があって、参拝者が自由に利用できる共同浴場となっているようなのですが、参道のすぐわきに浴場の建物があるというのはちょっと不思議な感じです。参拝者が少なかったのもありますが、私たちが見た感じでは利用している人はいないようでした。
恐山に近づいたあたりから硫黄の匂いが漂っていましたし、境内の溝などには硫黄が結晶化したりしていましたが、本堂のすぐ横から宇曽利湖まで広がっている賽の河原と極楽浜と呼ばれるあたりでは温泉がポコポコと吹き出していました。1969年までは硫黄鉱山となっていたということで、今のようなひっそりとした雰囲気になったのは比較的最近のことなのかもしれません。
賽の河原にはあちこちに石が積み上がっていて、この世のものとは思えない異様な雰囲気が漂っていました。雨のせいで陰鬱な感じでしたが、晴れ渡る青空だったとしてもそれはそれでどこか空虚に感じられたのではないでしょうか。誰が積んだのかわからない石がそこかしこで山になっているのは、山頂によくあるようなものとはだいぶ違うものに感じられました。
もしも雨が降っていなければしばらくこの空気を楽しんでみたいと思ったかもしれないのですが、あいにくの雨風で特に下半身がびしょ濡れになってしまって、ストーブに当たりたいと思うほど体も冷え切ってしまったので、逃げるようにここを後にしてしまいました。それこそ温泉に浸かりたいくらいだったのですが、タオルなどの用意もなかったので仕方ありません。ただ、もしまた行くことがあったとしても、そのためにわざわざ風呂の用意はして行きませんね。
それにしてもなんとも不思議な場所で、行ってみてよかったです。