コラム:ウクライナ戦争、長期化がプーチン氏に突きつける困難な選択 | ロイター

 ロシアのプーチン大統領(写真)が自分から進んで戦争をやめることはない。ウクライナが前線を守れなければ、ロシアが進軍を止める動機は薄れ、ウクライナ政府が屈服するまで攻撃を続けるだろう。10月24日、ロシアのカザンで開催されたBRICS首脳会議で撮影(2024年 ロイター/Maxim Shemetov)[ロンドン 9日 ロイター Breakingviews] - ロシアのプーチン大統領が自分から進んで戦争をやめることはない。ウクライナが前線を守れなければ、ロシアが進軍を止める動機は薄れ、ウクライナ政府が屈服するまで攻撃を続けるだろう。だが、ウクライナが戦場でロシアを足止めできるとなると、別のシナリオが見えてくる。ロシア政府が長期にわたって戦争を続けることは可能だろうが、費用はかさんでいく。インフレが加速する、あるいは石油価格が下落すればなおさらだ。そうなれば、西側諸国がしっかりしたウクライナ支援計画を示せば、プーチン氏を交渉のテーブルに着かせ、まっとうな停戦合意の実現に近づくかもしれない。ロシアの戦時経済が崩壊する可能性は少ない。だが戦闘がさらに数年長引けば、プーチン氏の前には、困難な選択がいくつか立ちはだかるかもしれない。特に、物価上昇と増税を国民に耐えてもらう必要が出てくる可能性がある。さらに多くの若者を死地に送り込むことになるのは言うまでもない。社会保障や教育、医療といった分野で政府支出を削減する必要も出てくるだろう。高金利のもとで経済を維持するために補助金を削れば、家計は住宅ローンの負担に苦しみ、一部の企業は倒産するだろう。こうした状況が避けられないわけではない。しかし、そうなったとしても、プーチン氏は平和を求めることはないだろう。世論調査を見る限り、ロシア国民は戦争より平和を求めているとはいえ、自国が屈辱を味わうような妥協は望んでいないからだ。さらに、ライバルがロシア政界に存在しない以上、プーチン氏としては国民の意向に従う必要はない。とはいえ、苦痛を伴う消耗戦が続く見込みになれば、来年、トランプ次期米大統領が和平交渉を提案した場合、プーチン氏も妥協に応じやすくなるかもしれない。<限界間近のロシア経済>国際通貨基金が今年3.6%の成長を予想しているとはいえ、ロシア経済は良好とはいえない。金利は21%に達し、ルーブルは過去1年で6%下落しているのは不吉な兆候だ。プーチン氏はロシアを戦時体制に置いている。来年のロシアはGDPの8%に当たる17兆ルーブル(1700億ドル、約25兆5000億円)を国防・安全保障分野に投じる。ウクライナ侵攻の前年に当たる2021年の約3倍の水準だ。労働者が兵器工場や前線に配置転換される中で、ロシア経済はギリギリの状態にある。失業率はわずか2.4%だ。インフレ率は公式発表の8.5%よりはるかに高い可能性がある。ロシア中央銀行のアンケート調査によれば、ロシア国民が感じているインフレ率は15.3%だ。一方、ロシアの調査会社ロミールによれば、日用消費財(FMCG)の価格は9月までの1年間で22%上昇した。ロイターの記者が調査したところ、バターの価格は今年に入ってから10月までに34%上昇している。バター盗難事件が多発するのも無理もない。物価上昇は、ある程度までは、平時の経済から戦時経済への移行を進める1つの手段にすぎない。だが、インフレを退治するのは難しい。定番の対策は金融政策の引き締めである。だが実際のインフレ率が公式の数値より大幅に高いとすれば、21%という金利でも不十分かもしれない。一方、政権に近い代表的なシンクタンクを含む有力なロビー団体は、借入コストの高さが経済を窒息させつつあり、利下げが必須だと主張している。プーチン大統領がナビウリナ中銀総裁を支持し続けるなら、破産や銀行システムの緊張が生じる可能性があるが、彼女を解任すればインフレが加速するリスクがある。<鍵となる原油価格>いずれも厳しい状況ではあるが、石油価格が現状を維持すれば対応可能なはずだ。西側諸国による制裁によりロシアは石油輸出収入の低下に甘んじ、天然ガス収入も痛手を被ったが、国際通貨基金の予想では、ロシアの経常黒字は今年も引き続きGDP比2.7%を維持する見込みである。ロシア政府の財源が尽きない限り、イランや中国といった国から有用な軍需物資を購入し、消費財の供給を維持し、国民をなだめることもできるだろう。西側諸国がさらに締め付けを厳しくすることもできる。先進主要7カ国(G7)が科した上限価格1バレル60ドルを超える水準で石油を輸出しているロシアの「影のタンカー船団」に対する摘発を強めたり、西欧諸国がロシア産液化天然ガスの輸入をやめることもできる。プーチン氏にとってさらに大きなリスクは、国際石油価格がさらに下落することだ。現状でも、ウクライナ侵攻後に記録した最高値に比べ35%の下落である。確実とは言いがたい情報だが、産油国カルテルであるOPECプラスによる供給抑制は、すでにグローバル需要の5.7%相当に達している。一方、世界第2位の経済大国である中国では、景気の減速と、ガソリン・ディーゼル車から電気自動車への急速な転換を背景に、石油需要の成長がほぼ止まっている。もし、トランプ政権が、中国からの輸入に対して60%、他国からの輸入に10-20%の追加関税を課すという脅しを実行に移せば、世界の貿易は打撃を受け、原油価格は急落し、ロシアの経常収支は赤字に転落しかねない。ロシア中銀は6140億ドルの外貨準備があると報告しているが、その半分は西側諸国による凍結措置を受けている。残り半分の3分の2は金であり、人民元の部分もある。結果として、経常収支が危機に陥った場合、プーチン氏には頼るべき流動資産がほとんどないことになる。もちろんプーチン氏には、経常収支を維持するために輸入を削減して帳尻を合わせることもできる。だが、そうなれば戦争遂行に支障が出るし、軍事支出以外の経済がさらに打撃を受け、消費者は苦しむことになる。こうしたシナリオに直面すれば、プーチン氏としても結局はウクライナとの妥当な停戦合意を受け入れることになるかもしれない。いずれも西側諸国にとっては、凍結したロシア資産3000億ドルを兵器購入に充てるなどウクライナを支援し、石油価格の下落を期待する理由が増えることになるのだ。(翻訳:エァクレーレン)私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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コラム:アップルの「中国デトックス」、痛みは避けられず | ロイター

 5月12日、 米アップルをパソコン業界のニッチ企業から世界屈指の大企業へと変貌させたiPhoneの成功は、中国のサプライチェーン(供給網)に負うところが大きい。上海のアップル店舗前で2023年9月撮影(2205年 ロイター/Aly Song) - 米アップル(AAPL.O), opens new tabをパソコン業界のニッチ企業から世界屈指の大企業へと変貌させたiPhoneの成功は、中国のサプライチェーン(供給網)に負うところが大きい。しかし現在、地政学的緊張と貿易戦争により、その依存関係が再考を迫られている。英フィナンシャル・タイムズ紙でアップルを取材してきたパトリック・マギー氏が執筆した「Apple in China(中国におけるアップル): 世界最大企業の掌握」は、同社の台頭に中国が果たした役割に焦点を絞った著作だ。元幹部やエンジニアを含む200人以上のインタビューや資料を基に、同社が製品のほとんどを中国サプライヤーに依存し、昨年時点で売上高の17%を中国の消費者から得るに至った経緯を迫真の筆致で描いている。アップルの中国進出は、台湾の電子機器受託生産大手、富士康科技集団(フォックスコン)の存在抜きでは不可能だった。同社とその競合他社は、1990年代半ばに中国本土に工場を設立することで、中国の輸出主導型モデル形成に重要な役割を果たした。それができたのは、地元当局と「手を取り合って」働いたこと、そして補助金やインフラ、低コストの出稼ぎ労働者のおかげだ。アップルが「アンクル・テリー」と呼んだフォックスコンの創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は、その政治的手腕ゆえに抜きんでた存在だったとマギーは記している。アップルは1999年にフォックスコンと緊密な提携を開始し、まずはiMac(アイマック)、そして数年後にはiPodの生産を委託した。迅速かつ大規模なフォックスコンの生産能力のおかげで、2005年のiPod出荷台数は2250万台と、03年の100万台弱から急増した。An area chart showing the number of iPhone units sold.中国に進出した他の多国籍企業と異なり、アップルは現地に完全子会社や合弁企業を設立しなかった。代わりに多くの現地企業に投資し、部品の供給方法やアップル製品の製造方法を教えた。これにより同社は少数の主要サプライヤーへの過剰依存を回避し、交渉で強い立場に立つことができた。また、マギー氏の著書に引用された中国生まれのエコノミスト、イー・ウェン氏の発言によると、こうしたやり方は「モノ作りの技術、実務の組織化、生産、流通、移動、コミュニケーション、消費」に関するノウハウの巨大な移転をもたらした。中国における世界最先端の製造サプライチェーンの発展と、華為技術(ファーウェイ)から小米科技(シャオミ)(1810.HK), opens new tabに至るスマートフォン・ブランドの誕生を後押ししたのはアップルだと言っても過言ではない。この戦略は台湾企業に代償を強いた。アップルの支援により、同社のサプライチェーンは次第に「赤く」なり、中国本土の企業グループがますますシェアを拡大していった。A line chart showing Apple's and Hon Hai Precision's annual operating profit marginしかし習近平氏が2012年に国家主席となって以来、中国指導部は国家による経済支配を強化し、その影響は民間部門や外国多国籍企業にも及んでいる。中国は15年、外国の技術からの脱却を目指す「中国製造2025」計画を発表した。中国事業を取り巻く政治的リスクが高まる兆しがあったにもかかわらず、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はますます中国に傾注した。トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争は、この関係を覆す可能性がある。これまでのところ、中国は米国との関係が悪化する中でもアップルに対する報復措置を控えており、それには十分な理由がある。例えばクックCEOによると、アップルは中国国内で500万人の雇用を支えており、その半分以上は製造業だ。また中国が大手外国企業を標的にすると他の投資家を怖がらせ、ビジネスに開かれた国だという言い分が崩れてしまう。中国は依然として欧米の技術と資本を必要としている。A bar chart showing Apple's net sales and operating income米中両国は12日、大半の関税措置を停止した。しかし、中国1国に製造を依存するアップルのモデルが持続不可能であることは明白だ。クック氏はサプライチェーンの多様化を加速させており、第3・四半期までに米国向け製品の「大多数」をインドとベトナムで製造する見込みだと述べている。同社はまた、「投資を米国に戻す」というトランプ氏の呼びかけに応えるため、今後4年間で米国に5000億ドル以上を投資すると約束している。長期的に見れば、これは関税を考慮しなくてもコスト上昇を招くだろう。例えば、インドでのスマホ製造コストは中国を最大10%上回る可能性があると、ロイターは先月報じた。米国での製造はさらに非現実的だ。ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏は、米国でiPhoneを製造すれば価格は現行の3倍以上の3500ドルになると試算している。時間の経過とともに、アップルの製造拠点は米電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O), opens new tabに似てくるかもしれない。テスラは米国、ドイツ、中国に工場を分散させている。より不透明なのは、中国サプライヤーへの支援と投資を継続することを米政府が容認するかどうかだ。ルビオ国務長官はかつて、アップルと中国のメモリー半導体企業、長江存儲科技(YMTC)との提携計画について、アップルが「火遊びをしている」と警鐘を鳴らした。この計画はその後撤回されている。アップルが人工知能(AI)分野に進出し、テスラが人型ロボット開発に注力する中、米政府は両社の中国事業を注視するだろう。アップルには、遅ればせながら「中国デトックス」を実現する時間的余裕があるかもしれない。とは言え、その過程は苦痛を伴うものとなるだろう。(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。Robyn Mak joined Reuters Breakingviews in 2013. Previously, she was a Research Associate for the Global Policy Programs at the Asia Society in New York. She has also worked at the Carnegie Endowment for International Peace in Washington DC and interned at several consulting firms, including the

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コラム:トランプ氏の「アメリカ・ファースト」、米国衰退招くか | ロイター

 11月11日、 「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」が戻ってくる。 写真は2022年7月、ワシントンでスピーチするトランプ氏(2024年 ロイター/Sarah Silbiger) - 「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」が戻ってくる。トランプ前大統領の返り咲きにより、同国の外交・通商政策は露骨に実利的なアプローチになるだろう。国際社会の原理原則は一段と揺らぎ、米国は同盟国からあまり信頼されなくなる。欧州やアジアの友好国はリスクの分散に動き、結局のところ中国やロシアなど米国と覇権を争う国が台頭しそうだ。トランプ氏は1期目にルールや同盟関係にはあまり関心を払わず、むしろ独裁者に対して好意的だった。最近でもロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻を「天才的」と呼び、中国の習近平国家主席が「鉄拳」で国民を支配しているのは「素晴らしい」と評した。さらに国防費支出が十分でない北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対してロシアは「好きなようにすればいい」と述べ、友好国からの輸入品にさえ10%の関税を課す方針を示している。こうした発言を比較的穏健に解釈すれば、トランプ氏は依然として同盟国との関係を重視しているものの、防衛や通商面で自国にとってより有利なディールを結ぶために脅しをかけていると言える。トランプ氏の1期目に大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたロバート・オブライエン氏は、同氏が断固とした外交政策を通じて「力による平和」を確立すると主張。6月のフォーリン・アフェアーズ誌への寄稿で「米国の同盟国はより安全になり、より自立し、敵対国は再び米国の力を恐れるようになるだろう」と論じた。ここで注意を払う必要があるのは、トランプ氏が同盟国を脅してでもより良いディールを得ることを楽しんでいるように見える点だ。トランプ氏は国際関係や通商関係が原理原則で動く、「ルールに基づく秩序」を信じていない。結果として、欧州やアジアの同盟国は米国に対する信頼が弱まり、頼れないパートナーと見なすだろう。そして正義よりも力が重視される世界で自らを守るための代替手段を模索するようになるだろう。<欧州の危機>トランプ氏の勝利で最も脅威を感じているはウクライナだ。トランプ氏はウクライナに対して、条件を受け入れなければ武器供給を停止すると脅し、ゼレンスキー大統領にロシアとの不利な和平協定を受け入れるよう圧力をかける可能性がある。トランプ氏は「24時間以内に戦争を終わらせることができる」と豪語しているが、具体的な方法は示していない。副大統領候補のJ・D・ヴァンス氏は、ロシアに不法占拠された領土をウクライナが手放し、NATOに加盟しないことを保証する合意案を示している。ウクライナにとって不利な和平協定が結ばれればロシアが強大化し、欧州連合(EU)の防衛体制は弱体化する。しかもEUは2期目のトランプ政権から関税をかけられ、ただでさえ弱っている加盟国の経済が打撃を被るだろう。A shaded map showing aid given to Ukraine by various European countries as a % of GDP理想的には、EU加盟国は団結を強め、防衛費を増やし、米国が支援を打ち切ってもウクライナが戦争を継続できるように支援を増やすべきだ。しかし外交や防衛政策の面で権限の弱いEUがそれほど大胆な行動に出ることはないだろう。トランプ氏の勝利を後押ししたナショナリズム的なムードが欧州でも親ロシア右派政党の追い風になっており、EU加盟国が全体で歩調を合わせて行動するのは難しくなっている。さらにEUの中核国であるドイツとフランスは現在、政治危機の渦中にある。多くの加盟国で財政がひっ迫していることもあり、欧州が地政学的な脅威に対して強く結束するのは困難な情勢だ。つまり欧州ではトランプ氏に取り入ろうとする国、プーチン氏に接近する国、両方を試みようとする国など、各国がばらばらに独自のディールを模索することになるだろう。中国はこうした分断につけこむだろう。お互い米国から関税を課されるのなら、通商面で共同歩調を取るべきだと欧州に働きかけるだろう。またトランプ氏が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から再び米国を脱退させるという政策を実行に移せば、この分野でも欧州に共闘を呼びかけるだろう。<アジアのリスク>習近平氏は台湾統一という野心を前進させる機会をうかがうだろう。トランプ氏がウクライナに対して圧力をかければ、米国は台湾の防衛にも無関心だと習氏は受け取るかもしれない。トランプ氏が「米国の半導体産業を奪った」と台湾を非難しているだけになおさらだ。アジア太平洋地域の他の米友好国・同盟国もトランプ氏の返り咲きに神経を尖らせている。米国は台湾の支援に消極的だと分かれば、これらの国々は不安を強めるだろう。日本や韓国は中国から圧力を掛けられた場合に米国が防衛してくれるかどうか確信が持てなくなり、核兵器保有を模索する可能性もある。一方、南シナ海における中国の進出から身を守るためもあって米国に接近しているフィリピンも、将来的に中国との関係を悪化させることに慎重になるのではないか。フィリピン同様に米国に歩み寄っているベトナムも、こうした政策は賢明ではなくなったと判断するかもしれない。国境問題に絡んで中国と距離を置いていたインドでさえ、中国との関係を修復し始めている。An area chart showing total ASEAN exports to China and the US from 2014 to 2023もし中国が周辺諸国を支配することができれば、東アジアで揺るぎない覇権を確立できる。そして中国の同盟国であるロシアが同じタイミングでウクライナに不利な合意を強いることに成功すれば、中国とロシアはユーラシア全体で強力な地歩を手に入れることになる。中国は米国が衰退していると論じているが、この主張が全面的に正しいとは言えない。確かに米国は1960年代のように世界経済を支配しているわけではないが、長期的な展望は中国より明るい可能性があり、特に人口動態の面で優位に立っているのは確かだ。しかし米国が世界最強である理由はそれだけではない。米国は第二次世界大戦以来、世界中に同盟関係を張り巡らせ、「法の支配」を広げることに投資してきた。もしトランプ氏がこれらを危険にさらすなら、「アメリカ・ファースト」はむしろ「アメリカの衰退」を現実化させるかもしれない。(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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コラム:トランプ氏を直撃する「同盟国いじめ」のブーメラン | ロイター - WACOCA NEWS

ブーメランを投げれば、それが戻ってきて自分に当たらないよう用心しなければならない。トランプ米大統領は「同盟国いじめ」によって、跳ね返ったブーメランの直撃を受ける危険を冒している。

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コラム:トランプ米大統領の中国関税、チャイナ・プラス・ワンを推進へ | ロイター

トランプ米大統領は1期目に続き、中国からの輸入削減に向けて動いている。世界2位の経済大国の中国を切り離し、主要戦略分野で自給自足を確立したいと考えている。今回の違いは、第三国を経由した製品の迂回輸入を取り締まることだ。1月15日撮影のイメージ写真(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration) - トランプ米大統領は1期目に続き、中国からの輸入削減に向けて動いている。世界2位の経済大国の中国を切り離し、主要戦略分野で自給自足を確立したいと考えている。今回の違いは、第三国を経由した製品の迂回輸入を取り締まることだ。トランプ政権の方針は、世界のサプライチェーン(供給網)を激変させることを物語る。トランプ氏は復帰7週目で既に2回にわたって中国からの輸入品の関税を引き上げ、既存関税に計20%ポイントを上乗せした。これは大部分のエコノミストが世界での幅広い貿易戦争に発展すると想定していた基準と一致し、今後も関税の引き上げは続くと予想されている。第1次トランプ政権が中国からの輸入関税を引き上げたのを背景に、企業は中国への過度の依存を是正するため投資や供給網の多様化を図る「チャイナ・プラス・ワン」を進めた。もともとは中国の人件費高騰に対処するための戦略だったのが、米中関係悪化による地政学的リスクを緩和する方法へと変化した。米国勢調査局によると、2024年の輸入品に占める中国の割合は13.4%となり、17年より8%ポイント低下。一方、国連貿易開発会議(UNCTAD)の統計によると、世界のモノの輸出に占める中国の割合は同じ期間に12.7%から14.2%へと上昇した。A line chart showing that U.S. imports from Mexico have overtaken China's, while Vietnam is rising fast中国製商品の一部には単に第三国を経由して米国に届くものもあり、大部分の場合は第三国では最低限の付加価値しか与えられていない。米国勢調査局によると、ベトナムからの輸入は24年に1370億ドルと17年の3倍に膨らみ、メキシコからの輸入は66%近く増えて5060億ドルとなった。投資銀行ナティクシスの分析によると、メキシコからの輸入品は自動車と自動車部品が大半を占める一方、ベトナムは通信機器や録音機器、家具、履物の分野が急増した。トランプ氏が復帰初日に署名した大統領令「米国第一通商政策」は、迂回貿易に対処するために供給網に適用する関税の見直しを求めている。ベトナムはこの種の制裁に対して特に脆弱なように映る。野村証券の調査によると、ベトナムの輸出総額のうち国内で産出した金額の割合を示す国内付加価値は20年に50%となり、10年前より5%ポイント低下した。これに対し、インド、マレーシア、メキシコは平均64%で、同じ期間に増加または横ばいだった。The chart shows that Vietnam’s share of domestic value added in gross exports has decreasedトランプ氏の政策の最終的な狙いは依然不透明だが、チャイナ・プラス・ワンの貿易にはさまざまな展開があるかもしれない。米国は製造業の復活を目指している。この取り組みは鉄鋼やアルミニウム、医薬品、自動車、半導体などのハイテク製品を含めた戦略分野に焦点を当てる可能性がある。野村証券の日本以外のアジア担当チーフエコノミスト、ソナル・バルマ氏は、米国が競争する意味がない低価格帯の製造業については、トランプ氏は中国へのエクスポージャーがより少ない同盟国からの輸入を好むかもしれないとの見方を示す。このシナリオに基づくと、ベトナムは敗れることになる。中国の貿易と投資の両面で大きな引き受け手になっており、東南アジアでの製造拠点の構築に力を入れてきたからだ。韓国サムスン電子(005930.KS), opens new tabや米ナイキ(NKE.N), opens new tabのようにベトナムに主要拠点を構えている企業にとっては頭痛の種だろう。Chart shows a chunky share of China’s greenfield manufacturing FDI is taken by Vietnam.バルマ氏は、対照的にインドは恩恵を受けるチャンスがあると指摘する。インドのモディ首相が2月に訪米した際、両国が25年秋までに貿易協定の第1段階を締結し、30年に二国間貿易を5000億ドル相当に倍増させることで合意したのは注目に値する。インドは依然として中国製部品に大きく依存している一方、投資に占める米国の割合が高まっている。インド産業・国内貿易振興省によると、2000年以降の外国直接株式投資流入額の10%を米国が占めている。米国を上回る比率なのはタックスヘイブン(租税回避地)のモーリシャスと、シンガポールだけだ。それでも、インドはアップル(AAPL.O), opens new tabのサプライヤーの獲得で成功したことを除くと、中国からの生産移転で限られた成果しか出ていない。トランプ氏は4日の上下両院合同会議の施政方針演説でインドの高関税を非難した。バルマ氏は、結局のところ中国の製造業の実力は中国を締め出すことを難しくしているとして「攻防戦のようなもので、政策立案者が1つの抜け穴をふさごうとするたびに、企業が関税を回避する別のルートを見つける」と言及した。The chart shows significant share of India’s foreign investment is attracted from the US.結果として、中国製部品の使用を最小限に抑えた米国中心の供給網がより際立つかもしれない。HSBCの首席アジアエコノミストのフレデリック・ニューマン氏は既存の供給網の効率と規模の経済を再現することは難しいため、国単位ではなく製品単位で見直すかもしれないとの見方を示した。この場合、ベトナムは生産を続けるかもしれないものの、その部品がどこから来たのかによって異なる市場に送られることになる。全体として米国の中国に対する反感は根深く、中国の輸出や投資に対して米国が攻撃を緩和することにつながる包括的な取り決めで両国が合意するとは考えにくい。さらに重要なのは、第三国や企業がそのような取り決めを守れるとは考えにくいことだ。このことは、今後数週間から数カ月間に行動が予測不可能なトランプ氏が何をしようとも、チャイナ・プラス・ワンの貿易を撤回するのはより難しくなることを示している。(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。Una Galani is Asia Editor of Reuters Breakingviews, based in Mumbai, overseeing a team of columnists across the region. She was previously in Hong Kong,

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