4月11日、インド準備銀行(中央銀行)の利下げサイクルは、成長に対する下振れリスクと穏やかなインフレ見通しが中銀に緩和的な姿勢を促す可能性があるため、予想以上に深まる可能性があるとエコノミストは指摘している。写真は同行のサンジャイ・マルホートラ総裁。ムンバイで9日撮影(2025年 ロイター/Francis Mascarenhas) - インド準備銀行(中央銀行)の利下げサイクルは、成長に対する下振れリスクと穏やかなインフレ見通しが中銀に緩和的な姿勢を促す可能性があるため、予想以上に深まる可能性があるとエコノミストは指摘している。アジア第3位の経済大国であるインドの成長は、都市部消費の減速と民間投資の低迷に見舞われ、米中貿易戦争の激化と米国の高関税の懸念から、悪化する可能性がある。インドは米国との通商協定の締結を望んでいる。野村証券のエコノミスト、ソナル・バルマ氏とオーロディープ・ナンディ氏は「成長率が潜在成長率を下回り、原油価格が下落し、インフレ率が目標水準に維持されていることから、政策金利は緩和的なゾーンに移行する必要がある。したがって、われわれは最終金利の見通しを従来の5.50%から5.00%に引き下げる」と指摘した。インド中銀は9日、主要政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ6%とし、政策スタンスを「中立」から「緩和的」に軟化させた。また、成長率とインフレ率の見通しをそれぞれ20bp引き下げ、6.5%、4%とした。アナリストによれば、成長率と物価上昇の下振れ幅はさらに大きくなる可能性があるという。野村証券は、6月、8月、10月、12月に25bpずつ、年内に合計100bpの追加利下げがあると予想している。中銀のマルホトラ総裁は9日、関税で不確実性が高まったが、成長への影響を定量化するのは難しいと述べた。ANZのエコノミスト、ディラジ・ニム氏は1―3月期のインドのGDP成長率が政府予測の7.6%を下回ると予想しており、中銀の通年成長率予測の調整を支持した。「相互関税が考慮されないとしても、不確実性と世界的な成長の下振れによる成長への代償は相当なものになる可能性がある。いずれにせよ、中銀は成長に対してかなり楽観的だと思う」と述べ、成長率が5.5%に向かって低下すれば、政策金利は5%まで引き下げられる可能性があるとした。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
4月11日、前場の東京株式市場で日経平均は、前営業日比1460円55銭安の3万3148円45銭と大幅に反落した。写真は同日、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)[東京 11日 ロイター] - 前場の東京株式市場で日経平均は、前営業日比1460円55銭安の3万3148円45銭と大幅に反落した。米中貿易摩擦のエスカレートを懸念して米国市場で株安だったことを嫌気した売りが優勢となった。ドル/円が一時142円台と急速に円高が進行したことも投資家心理を冷やし、日経平均は一時1900円超下落した。日経平均は657円安で寄り付いた後も下げ幅を拡大し、一時1982円安の3万2626円58銭に下落した。トランプ米大統領は9日、対中追加関税を125%に引き上げ、即時発効すると発表していたが、合成麻薬フェンタニル対策で年初に発動した20%の関税を合わせて累計で145%と伝わり、米中間の摩擦がエスカレートするリスクを警戒した売りが優勢となった。為替市場でドル/円が一時、半年ぶり安値の142円台へ急速に円高に振れたことも投資家心理を冷やした。市場では「最悪期を通過したかもしれないが、警戒感は残存している」(岩井コスモ証券の林卓郎投資情報センター長)との声が聞かれた。日経平均のPBR(株価純資産倍率)は7日の急落時に一時1.15倍に低下し、解散価値に接近したほか、配当利回りやチャートの形状からも割安感が出てきているとし「この辺りがいい水準だろう。当面は値固めではないか」(岩井コスモの林氏)との見方もあった。TOPIXは4.25%安の2431.51ポイントで午前の取引を終了した。東証プライム市場の売買代金は2兆5195億1600万円だった。東証33業種はすべてが値下がりし、値下がり率上位には保険や銀行、輸送用機器などが並んだ。相対的に値下がり率が小さかったのは食料品や建設、小売などだった。ファーストリテイリング(9983.T), opens new tabやアドバンテスト(6857.T), opens new tabといった日経平均への寄与度が高い銘柄群の大幅安が目立った。トヨタ自動車(7203.T), opens new tab、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T), opens new tabといった主力株も弱かった。一方、決算を手掛かりにした個別物色がみられ、スギホールディングス(7649.T), opens new tabやベイカレント(6532.T), opens new tabはしっかりだった。東証プライム市場の騰落数は、値上がりが107銘柄(6%)、値下がりは1516銘柄(92%)、変わらずは14銘柄だった。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
英金融大手バークレイズは7日、トランプ米大統領の関税政策と貿易摩擦の激化でリセッション(景気後退)懸念が強まる中、STOXX欧州600種指数の年末予想値を再度引き下げた。(2025年 ロイター/Sergio Perez/ File Photo) - 英金融大手バークレイズ(BARC.L), opens new tabは7日、トランプ米大統領の関税政策と貿易摩擦の激化でリセッション(景気後退)懸念が強まる中、STOXX欧州600種指数(.STOXX), opens new tabの年末予想値を再度引き下げた。引き下げはここ1カ月弱で2度目。バークレイズは予想値を従来の580ポイントから490ポイントに引き下げた上で、「現段階では予想値を設定する意味はほとんどない。現在の危機にあたって頼れる前例や基本的な枠組みはない」と説明した。最悪のシナリオでは同指数が390ポイントまで下落する可能性があるとしたが、貿易摩擦がリセッション回避に間に合うペースで緩和されれば、550ポイント程度まで反発する可能性もあると指摘した。先週末4日の終値は496.33ポイントだった。バークレイズのストラテジストは「ダメージが大きいため、世界株式がすぐに直近の高値に戻る可能性は低い」との見方を示した。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab