
生命進化の爆発を促したのは「酸素」ではなかった、70年来の説に反証 - ナゾロジー
酸素がなくても進化が起きていた可能性があるようです。
デンマークのコペンハーゲン大学(KU)で行われた研究により、多細胞生物の爆発的な進化が起きた「アヴァロン爆発」と呼ばれる時代には、酸素はほとんど存在しなかったことが示されました。
これまで70年以上にわたり、高度な多細胞生物が進化するには、酸素レベルの増加が必要だったと考えられてきましたが、当時の鉱物を調べると期待していたような酸素レベルの増加が起きていませんでした。
酸素が無くても多細胞生物の進化が起きた可能性があるというのは、生命進化を考える上で非常に興味深い報告です。
この研究は2023年5月8日に学術誌『Geobiology』にて…
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ゾウの「睾丸を外にブラブラさせない」進化が抗がん能力の起源だった - ナゾロジー
「熱い睾丸」が鍵でした。
ゾウは人間よりも遥かに多くの細胞を持ちながら、がん化することなく何十年も生きることが可能です。
英国のオックスフォード大学(UO)で行われた研究によって、ゾウに高い抗がん能力があるのは、ゾウの体内に格納されている「熱い睾丸」のせいである可能性が提示されました。
「抗がん能力」と「熱い睾丸」の2つはイマイチ結びつきにくい言葉ですが、研究では多くの事実検討の末に、両者が進化の過程で絡み合う面白い様子が示されています。
いったいなぜ睾丸が熱いと、がんに強く進化するのでしょうか?
研究内容の詳細は2023年6月27日に『Trends in Ecology & Evo…
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決して孵化しない何百個もの卵を産むイモリの謎を解明 - ナゾロジー
「無駄な卵」を産むクシイモリの謎に、科学の最新研究が光を当てます。
毎年、クシイモリは何百もの卵を産みますが、その半数が孵化せず、その理由は長い間未解明でした。
しかしオランダのライデン大学(LEI)で2022年に行われた研究では、その原因が「超遺伝子」の存在と、それがもたらす恩恵と代償による可能性が示されました。
超遺伝子は獲得した生命に短期的な利益を与えてくれますが、時に修正不可能な長期の不利益という恐ろしい結果をもたらしていたのです。
クシイモリと超遺伝子との間に、いったいどんな悪魔的契約が結ばれていたのでしょうか?
研究内容の詳細は2022年6月13日付けで科学誌『Philosoph…
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「卵が先か鶏が先か」よく聞く疑問に生物学者がマジレスすると? - ナゾロジー
「卵が先か、鶏が先か」
誰しも一度は耳にしたことのあるこの問題は、一般的には「どちらが原因として先にあるか分からない」という比喩的な意味で用いられ、古代ギリシア時代から存在していました。
しかし文字通りに受け取って考えた場合、その答えはどうなるのでしょうか?
「ニワトリは卵から生まれるが、卵はニワトリによって産み落とされる」
なんだか思考の迷宮に陥りそうですが、進化生物学的にはこの問題にきちんとした答えがあるようです。
生物学者たちの本気の見解を見ていきましょう。
目次
「硬い卵」の進化から見れば、卵が先?「最初の鶏卵」から見れば、ニワトリが先?
この記事の動画解説はコチラ↓↓
「硬…
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進化はどのくらいの速度で起きるのか? - ナゾロジー
進化とはどのくらいの速度で起こる現象なのでしょうか?
進化には、気の遠くなるような時間がかかると信じている人は多いかもしれません。何万年、何百万年とかけて生物が少しずつ変化していく。それが「進化」のイメージとして、私たちの頭にすっかり定着しています。
ところが近年の研究は、こうした常識に一石を投じつつあります。進化は、ある条件がそろえば、たった数十年という短い期間で目に見える形で起こることもあるのです。
その代表的な事例の1つが、米国東海岸の工業地域を流れる川で報告された、「キリフィッシュ」という小型の魚の急速な進化です。
この川は長年の排水によって有害物質で汚染され、生き物が住めるような環…
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北欧で自然発生した猫の"新毛色"「サルミアッキ」が登場!【どんな柄か予想してみよう】 - ナゾロジー
道端で見かけた可愛い猫の柄が、実は新発見で、しかも遺伝的に特異なものだったとしたら、ちょっと驚きですよね。
実はそんな出来事が、北欧フィンランドで実際に起きたのです。
フィンランドのヘルシンキ大学(University of Helsinki)の研究によって、従来のタキシード模様とは一線を画す新たな毛色「サルミアッキ」の遺伝的背景が解明されました。
毛先に向けて徐々に色が薄まる独特のグラデーションを持つこの毛色が、遺伝子の突然変異によって引き起こされることが明らかになり、世界中の「ネコ好き」の注目を集めたのです。
研究内容の詳細は、2024年5月9日付の『Animal Genetics』誌に…
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ポーランドの森に「漆黒のオオカミ」が現れる!感染症に抗う「黒の遺伝子」を持つか!? - ナゾロジー
ポーランドの森で「黒いオオカミ」が姿を現しました。
ポーランドの自然保護団体「SAVE Wildlife Conservation Fund」が設置した自動撮影カメラに、黒いオオカミが川を渡る様子が記録されたのです。
これはポーランド国内で撮影された初の黒毛個体であり、地元の人たちを大いに驚かせました。
この発見は、単なる珍しい色の個体の記録という枠を超え、遺伝子の謎に迫るための貴重な情報となります。
目次
感染症から生き残るオオカミの多くは「特定の遺伝子変異」を持っているポーランドでも「黒の遺伝子」を持つ漆黒の狼が発見される
感染症から生き残るオオカミの多くは「特定の遺伝子変異」を持…
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「三本の牙」を持つ奇妙な毒蛇を発見!すべての牙から大量の毒液を生成 - ナゾロジー
オーストラリアの動物園「オーストラリアン・レプタイル・パーク( Australian Reptile Park)」にて、三つの牙を持つヘビが発見されました。
この特殊な毒蛇は、強力な毒を持つことで知られる「デスアダー」に分類されます。
しかし、デスアダーは本来2つの牙しか持っていません。
いったいどのような経緯で3つの牙を持つようになったのでしょうか。
目次
猛毒を持つヘビ「デスアダー」三本の牙を持つデスアダーを発見
猛毒を持つヘビ「デスアダー」
デスアダー / Credit:Wikipedia Commonsデスアダー(学名:Acanthophis)は、オーストラリアに生息する毒蛇と…
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最新研究で「進化自体が進化」することがあると判明 - ナゾロジー
150年以上前、チャールズ・ダーウィンが「自然選択」という新しい概念を打ち立てたとき、人々は生物が環境に合わせて姿を変え続けることに大いに驚きました。
ところが、アメリカのミシガン大学(University of Michigan)による研究によって、進化自体がさらに「進化しやすくなる」――つまり「進化が進化する」という現象が示されました。
どういうことかというと、環境が特定のパターンで変わり続けると、生物(あるいはデジタル実験で使われる仮想の“生物もどき”)は、ただ単に今の環境に合わせるだけでなく、将来の変化にも即応できるよう自分自身の「進化しやすさ」を高めていくというのです。
一部のウイ…
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5人に1人は「寒さを感じない」突然変異を起こしていた - ナゾロジー
こんな寒いのに、妙に寒さに強い人がいるなと感じることはないでしょうか?
実は寒さに強い人は遺伝子が変異している可能性があると指摘する研究があります。
それがスウェーデン・カロリンスカ研究所に所属する生理学者ホーカン・ウェスターブラッド氏ら研究チームが発表した、速筋繊維に影響を与えるACTN3遺伝子が変異すると、人は耐寒性を獲得するという研究です。
そして現在、世界中の5人に1人は、この変異したACTN3遺伝子をもっているといいます。
詳細は、2021年2月17日付けの科学誌『American Journal of Human Genetics』に掲載されました。
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筋肉に瞬発力を与…
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