ガイジンじゃない、ニンゲンだ!|Deadly_Poison

 コンベアの流れる単調な音が、工場全体に響き渡っている。僕は、流れてくるプラスチック部品に手際よくネジを取り付けていく。カシャン、カシャン。規則正しい金属音だけが、僕の思考を麻痺させてくれる唯一の友達だった。  「おい、ガイジン!そっちの箱、こっちに回してくれ!」  背後から飛んできた声に、僕の肩が微かにこわばる。振り返ると、年上の同僚が顎で箱を指していた。僕は無言で頷き、重い段ボール箱を彼の元へ運ぶ。  「サンキュ」  悪気はない。分かってる。彼らにとって、僕は「ケンジ」である前に、一括りの「ガイジン」なのだ。便利な記号。それ以上でも、それ以下でもない。  僕の名前は、タナカ・ケンジ

note(ノート)