11日の米株式相場は反発。S&P500種株価指数は週間で2023年以来の大幅高を記録した。ここ数日、外国投資家が米国資産から撤退しているのではないかとの懸念が強まっていたが、長期国債とドルへの売り圧力はやや弱まった。株式終値前営業日比変化率S&P500種株価指数5363.3695.311.81%ダウ工業株30種平均40212.71619.051.56%ナスダック総合指数16724.46337.152.06% トランプ大統領の急速に展開する通商政策が世界経済を揺るがしているだけでなく、世界の安全な避難場所としての米国の地位を脅かしているのではないかとの懸念から、ボラティリティーはまだ落ち着く気配を見せていない。ボストン連銀のコリンズ総裁が、金融市場が無秩序な状況になれば、連邦準備制度理事会(FRB)は安定化に向けて支援する用意があると述べたとの報道を受け、S&P500種は約2%上昇した。関連記事:FRBは市場安定へ支援の用意ある、ボストン連銀総裁がFTに語る 撮影:Michael Nagle/Bloomberg オーシャン・パーク・アセット・マネジメントのジェームズ・セント・オービン最高投資責任者(CIO)は「FRBプットが動き出した。これで当面の不安はいくらか和らぐだろう」と述べた。「ボラティリティー自体は健全な兆候ではない。日中の急激な上昇は表面的には安心感を与えるかもしれないが、乱高下は全体的な不確実性の表れだ」と指摘した。 ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「市場はまだ感情的になっている」と述べた。「貿易摩擦の解消が見込めず、業績の行方が不透明で、マクロ経済の逆風が吹く中、市場は依然として足場を模索している。今週の上昇は心強いが、明確な転換点と見なすべきではない」と語った。 「不確実性」、「未知数」、「混乱」といった言葉が米銀大手3行の決算報告では何度も繰り返し使われた。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米国債市場で「混乱」が生じ、それがFRBの介入を促すことになると予想した。関連記事:米国債市場で「混乱」発生へ、FRBの介入を促す-ダイモン氏が予測 米金融当局が何かしらの対応を見せ、米国と中国がエスカレートする世界的な貿易戦争を緩和させるまで、S&P500種の戻り売りが賢明だと、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は助言した。 同氏はトランプ大統領の関税とそれによる市場の混乱で、米国例外主義は「米国敬遠」へと変化しつつあるとの見解を示した。S&P500種が4800に達するまでは株式のショートポジションを、米2年債に対してはロングポジションを推奨している。関連記事:S&P500は戻り売り推奨、関税・市場混乱で「米国敬遠」に-BofA米国債 米国債相場は短期債を中心に下落した。米国資産から資金を引き揚げる動きが続き、10年債利回りは週間ベースで2001年以来の大幅上昇となった。国債直近値前営業日比(bp)変化率米30年債利回り4.87%0.50.11%米10年債利回り4.50%7.11.59%米2年債利回り3.97%10.42.70% 米東部時間16時50分 10年債利回りはこの日、一時16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.6%近くを付けた。先週末からは50bp余りの上昇となったが、終盤にやや上げ幅を縮小した。30年債利回りは一時、前日比12bp上昇して5%に迫った。 UBSグループのチーフストラテジスト、バーヌ・バウェジャ氏は「非常に恐ろしい。われわれは世界のリスクフリーレートを定義し直しているところだ。世界のリスクフリーレートにボラティリティーを組み込んでしまったら、全ての市場がひっくり返る」と述べた。 チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「市場が直面している問題は米国の政策に対する信頼感喪失だ」と指摘。「関税政策が突然変更されたことで、レバレッジを効かせた取引はうまくいかなくなり、買い手は様子見に回っている」と述べた。 バークレイズのアジェイ・ラジャディアクシャ氏は「今週の価格動向で最も懸念されるのは米国債市場の動きだ。米国債が安定し、正常な動きを取り戻すまで、リスク資産は苦戦を強いられるだろう」と述べた。外為 外国為替市場ではドル指数が4日連続で下げ、6カ月ぶりの低水準を付けた。中国が関税を引き上げたことに加え、3月の米生産者物価指数(PPI)が予想外に前月比で低下したため、ドル売りが続いた。主要10通貨の中では、ユーロとスイス・フランの上げが目立った。 関連記事:米PPI、3月は予想外に前月比で低下-エネルギー価格下落で (2)為替直近値前営業日比変化率ブルームバーグ・ドル指数1233.74-12.52-1.00%ドル/円¥143.62-¥0.83-0.57%ユーロ/ドル$1.1349$0.01481.32% 米東部時間16時50分 円は対ドルで小幅続伸。欧州の取引時間帯に1ドル=142円07銭と、昨年9月30日以来の高値を付けた。ニューヨーク市場では144円近辺まで伸び悩む場面もあった。ブルームバーグ・ドル指数出所:ブルームバーグ ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のシニア市場ストラテジスト、エリアス・ハダッド氏は「米経済はスタグフレーションの瀬戸際にある」と指摘。「ドルはさらに下げやすい状態にある」と述べた。原油 ニューヨーク原油先物は反発。ただ、米中の貿易戦争激化に伴いボラティリティーが高まる中、週間では2週連続の下落となった。 中国はこの日、米国への関税を125%に引き上げると発表。一方で、米国が今後関税を引き上げても取り合わないとして、打ち止めも示唆した。また米長期債への売りが和らぐ一方、米国株が上昇し、終盤の取引で原油相場を支援した。 フィッチ・ソリューションズ傘下のBMIは「原油などマクロ経済に敏感なコモディティー(商品)にとって、経済を巡る高い不確実性は重しであり、価格は引き続き圧力を受けると予想される」とリポートで指摘。さらに、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラスによる減産の段階的かつ継続的な巻き戻しを当社では現時点で織り込んでいる」と述べた。 ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は、前日比1.43ドル(2.4%)高い1バレル=61.50ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント6月限は2.3%上げて64.76ドル。 金 金スポット価格は初めて1オンス=3200ドルを上抜け、最高値を再び更新した。関税による世界経済への影響が懸念される中、安全資産としての金の妙味が増した。 金は一時、2.2%高のオンス当たり3245.48ドルまで買われた。週間では6.5%近い値上がりだ。 めまぐるしく変更されるトランプ氏の関税政策により、金融市場は混乱。通常なら逃避マネーの受け皿になる米国債も売り込まれており、安全資産としての金の評価が改めて高まった。 サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「金が力強く持ち直し、再び最高値を更新したことは、状況が決して良好ではないことの裏返しでもある」と指摘。「金の一段高は、関税の一時停止にもかかわらず、地政学的および経済的な緊張や財政悪化といった根本的な懸念がくすぶっていることを示している。中央銀行による金購入の継続も相場の押し上げ要因だ」と述べた。 金スポット価格はニューヨーク時間午後2時38分現在、前日比61.15ドル上げて1オンス=3237.38ドル。COMEXの金先物6月限は67.10ドル(2.1%)高い3244.60ドルで引けた。原題:S&P 500 Notches Its Best Week Since November 2023: Markets Wrap(抜粋)Treasury Yields Climb as Trade War Fuels Exodus From US Assets*TREASURY 10-YEAR YIELD’S WEEKLY INCREASE IS BIGGEST SINCE 2001Havens Rally as Dollar Drops Amid Market Mayhem: Inside G-10 Havens Rally as Dollar Drops Amid Market Mayhem: Inside G-10Oil Rebounds at End of Losing Week as Trade War Roils MarketsGold ‘Best Place to Be’ as Tariff Turmoil Sparks Climb to Record(米国債に関する情報を追加し、更新します)
チリのボリッチ大統領は2日、トランプ米大統領を「まるで皇帝気取り」だと皮肉った。かつて学生運動を指揮した左派系のボリッチ大統領は、米政府による関税発表を数時間後に控え、トランプ氏を痛烈に批判した。 インドを公式訪問中のボリッチ大統領は、トランプ氏の就任式に言及し、「新皇帝気取りの人物」がジェフ・ベゾス氏やマーク・ザッカーバーグ氏、イーロン・マスク氏ら富豪に「表敬訪問されていた」と述べた。チリのボリッチ大統領Photographer: Ton Molina/Bloomberg ボリッチ氏はさらに、「相互の合意に基づくルールを考えもせず、一方的に」設ける貿易障壁を批判。「国際貿易の原則をないがしろにするものだ」と述べた。 「一部の国々にどのような条件を突きつけるのか、予測できないような発表があるだろう」と同氏は述べた。関連記事:トランプ米政権、相互関税で最終調整続く-国別や一律含む選択肢検討 トランプ氏は米東部時間午後4時に、ホワイトハウスのローズガーデンで関税計画を明らかにする。関係者によれば、貿易相手国・地域の関税率と非関税障壁に応じて10%ないし20%の税率を一律に適用する2段階の関税制度や、相互関税を各国・地域の状況に合わせ個別に調整する案を含む複数の選択肢が検討されている。これとは別にトランプ政権は、チリ最大の輸出品目である銅に対する関税を数週間内に発動する可能性がある。当初は数カ月後に期限を設定していた。関連記事:トランプ政権、銅輸入関税を数週間以内に発動の可能性-関係者 (2)原題:Trump Attempting to Be an ‘Emperor,’ Chile President Boric Says(抜粋)
3月の米生産者物価指数(PPI)は予想外に前月比で低下し、2023年10月以来の大幅な落ち込みとなった。エネルギーコストの低下が影響した。大規模な追加関税が賦課される前は物価状況が落ち着いていたことが改めて示された。キーポイントPPI(最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%低下エコノミスト予想の中央値は0.2%上昇前月は0.1%上昇(速報値は横ばい)に上方修正前年同月比では2.7%上昇市場予想は3.3%上昇前月は3.2%上昇 変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比0.1%低下。予想は0.3%上昇だった。 10日に発表された3月のCPI統計でもコア指数の前月比が市場予想に反して鈍化するなど、全般的にインフレ圧力の後退を示唆していた。関連記事:米コアCPI、予想外に伸び鈍化-総合指数は5年ぶりの低下 (3) しかし、トランプ大統領が輸入品に課した広範囲にわたる関税が価格上昇につながるにつれ、年内にインフレが加速するとエコノミストは予測している。 PPIは輸入品の価格上昇が卸売業者と小売業者の利益率の圧縮によって相殺されていることを示しており、企業は先月すでに実施されていた低い税率の関税からのコスト増を吸収していたことを示唆している。 パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ米国エコノミスト、サミュエル・トムズ氏はリポートで、「小売業者の利益率はすでに圧迫されている」と指摘。「製造メーカーの販売価格や輸入価格の今後の上昇から消費者がある程度守られる」ことを示していると述べた。 コア財価格は2カ月連続で0.3%上昇。2カ月の数字としては2年ぶりの大幅上昇となった。油田・ガス機器や衛生用紙製品、エックス線検査機器の伸びが目立った。 一方、サービス価格は0.2%低下と、昨年7月以来の大幅低下となった。卸売業および小売業の利益率は引き続き低下した。テレビやスポーツ用品、自動車、アパレルなどの小売業者は利益率が大幅に低下している。 PPIには米金融当局が物価指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数に反映されるカテゴリーがあるため、注目度が高い。航空運賃が4%低下、医療サービス費用の伸びが鈍化するなど、同カテゴリーはおおむね落ち着いた内容となった。PCE統計は30日に発表される。 関税の引き上げは価格上昇につながるリスクがあるが、多くのコモディティー価格が低迷しており、生産者から消費者や顧客への価格転嫁の度合いが和らげられる可能性もある。 製造業の主要原材料であるアルミニウムや銅、ニッケル、亜鉛を含むブルームバーグ金属指数は2020年以来の低水準付近で推移している。さらに、原油価格は1バレル=60ドル前後まで下落しており、4年ぶりの低水準に近づいている。穀物や家畜の価格も下落している。 食品価格は2.1%低下、エネルギーコストは4%下がった。生産過程における比較的早い段階での物価を反映する中間財は前月比横ばいとなった。原材料価格は4.1%低下し、食料品とエネルギー製品の価格低下を反映した。 統計の詳細は表をご覧ください。原題:US Producer Prices Unexpectedly Fall, Dragged Down by Energy (1)(抜粋)(コメントや統計の詳細を加え、更新します)
Clean energy powered 40% of global electricity in 2024, report finds
> Thinktank says solar has been fastest-growing energy source for last 20 years, but remains dwarfed by #hydropower
#RenewableEnergy #EnergyIndustry #SolarPower #FossilFuel #energy