古今亭志ん朝の“粋な逸話” 正蔵&たい平&毒蝮が語り合う「江戸という空気をまとってくる」
https://www.oricon.co.jp/news/2315207/full/
落語家の 林家正蔵 、 林家たい平 、タレントの 毒蝮三太夫 が21日、都内で行われた『昭和落語名演 秘蔵音源CDコレクション』創刊記念及び創刊記念ラジオ特番放送記者発表会に出席。“不世出の名人噺家”三代目古今亭志ん朝の魅力について語り合った。 記念すべき創刊号から、志ん朝の秘蔵音源を収録。「落語協会百年記念商品」にふさわしく、志ん朝の現存する最古の音源といわれ、1962年のラジオ放送以来、フルでは一切世に出ることのなかった“幻の音源”といっても過言ではない「真打昇進披露興行」での高座音源をはじめ、志ん朝の高座音源を所有するすべての民放ラジオ局(TBSラジオ/文化放送/ニッポン放送/ABCラジオ/STVラジオ)が、本商品に対し、現存が確認できた音源を余すことなく提供している。 この日のイベントで、正蔵は「志ん朝師匠がいなければ、落語家になってなかったと思います。父(初代林家三平)は落語家だったんです。父の芸風は、あまり好きじゃなかったですね(笑)。楽しませる芸風で、騒がしくて嫌だなと(笑)。それがある時、志ん朝師匠の高座を見て、かっこいいって思いました。落語家ってかっこいいんだって」と回顧。志ん朝と出会った時のエピソードにも触れ「師匠が『あれ、根岸の坊っちゃん?見に来たの?』『あはい、でも席がなくて…』『うしろにパイプいすがあるから、見ていきな』って。その時は『花見の仇討』『唐茄子屋政談』をやられていました」と明かした。 たい平も「初めてちゃんと聞いたのは大学4年になって、落語家になろうと思った時でした。『御慶』という落語を聞いて、こんなすごい落語があるんだって衝撃的でして。それで見に行くことになるのですが、当時は落語ブームが来ておりませんで、師匠が来ているのに、お客さんが30人くらいしかいなくて、憧れの師匠に手を伸ばせば触れるんだって(いうくらいの距離感だった)。その喜びとうれしさがありました。師匠が出てきただけで、ものすごく大きな江戸という空気をまとってくるので、客席まで空気を変えてしまう。師匠が作り上げる江戸の中にのんびりと浸れる」と熱弁をふるった。 毒蝮は「この2人(正蔵とたい平)にオレがかなうとしたら、志ん朝さんが朝太の時代にお会いしているんですね。立川談志が小ゑん、円楽さんが全生、今の文楽さんが小益だった時、新宿の居酒屋に入って。その時、オレがたまたまお金を持っていたから、奢った思い出があります。朝太さんは2つばかり歳が下ですから、すごく礼儀正しくて、先輩を立てている飲み方をしていましたね。だから、志ん朝さんの今日があるのは、オレが奢ったからじゃないですか?」と笑いを交えて、貴重な逸話を紹介した。