(東京新聞2025年6月15日朝刊・記事抜粋)
『◆寄付先と関係ないところにもお金が流れている
ふるさと納税をした場合、寄付額すべてが自治体の収入になるわけではない。2023年度の全寄付額計約1兆1100億円のうち、半分近くの5400億円余りは、返礼品関連の費用となった。
5400億円の内訳を見ると、3000億円余りが自治体による返礼品購入を通じて地場産業などに回る。残り2400億円は返礼品の配送やネット広告、仲介サイトの運営を担う民間事業者などに払われ、寄付した地域とは関係のないところにお金が流れている可能性が高い。
◆「日本全体の地方税収が減少」「金持ち優遇」という問題
昨年、国民民主党が提案した減税策「年収の壁引き上げ」について、政府・与党は「地方税収への影響」と「金持ち優遇」を理由に消極的だったが、ふるさと納税はこの二つの特徴を持つ。日本全体の地方税収を減らしてしまうほか、高所得者ほど多くの寄付が可能なため、より高価な返礼品を受けられる。