天然蒸し鍋|Deadly_Poison

 空から火の矢が、などと詩的な表現を使ってみたくなるが、現実はもっと暴力的で、容赦がない。天頂に君臨する太陽は、巨大な恒星というより、地上を焼き尽くすことに執念を燃やす神のようだ。その視線だけで、あらゆるものを燃焼させていく。  僕の部屋の窓から見える景色は、歪んでいる。  黒いアスファルトの道路は、地獄の釜の蓋みたいにグツグツと熱を溜め込み、その表面から透き通った炎(ホムラ)がメキメキと立ち上っていた。まるで、この世ならざる何かが、地面を突き破って生まれ出ようとしているかのようだ。世界そのものが高熱に浮かされ、幻覚を見ているのかもしれない。  エアコンの室外機が悲鳴のような音を立てて

note(ノート)