「沖縄 旅の時間」(1981刊)は、社会派ジャーナリスト・高沢皓司氏の著書。
目次には沖縄各地の名所が並び、一見よくあるガイドブックのようですが、実はそうではありません。
70年代の沖縄/日本社会を鋭く捉えた、高沢版「沖縄ノート」とも言うべき一冊です。
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本書で著者はまず、旅人の視点で当時の沖縄での体験を綴っていきます。
那覇やコザの昼と夜を歩き、伝統的な言葉や料理・歴史や風習に触れ、人々と語りあい…やがて米軍基地をはじめ社会問題にも踏み込み、日本社会の矛盾や、沖縄への無関心が生む”距離”の遠さを炙り出してゆきます。
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また著者は、東京を中心とし沖縄を辺境とする固定観念を疑い、
「沖縄は本土の無知と愚かさを微妙に映す鏡の国」
「鏡の映像が教えようとしていることは、本当のところ《東京の秘密》にほかならない」と批判。
40年前のこの指摘が今もまだ有効である事を、”本土”の私達は恥じるべきでしょう。
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一見、ただの古い観光ガイド本のような「沖縄・琉球弧への旅」(1987刊)。
しかし中身は違います!
著者の高沢皓司氏は、後にカンボジアのポル・ポト派やよど号ハイジャック犯なども取材する、気鋭のジャーナリスト。
これはそんな氏による硬派な沖縄ルポであり、沖縄/日本論なのです。
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取り上げるテーマは幅広く、沖縄の歴史や信仰から食・芸能・社会問題まで様々。
特に沖縄戦や米軍基地、開発と自然破壊の問題などに、多くのページが割かれます。
通り一遍の説明ではなく、自らの体験を交え、また先人の言葉を借りて掘り下げた論考は、時に”政治の季節”の熱気をも帯びます。
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沖縄の人が今も「日本(ヤマト)という国」と表現する事に、”打ちのめされた”という著者。
沖縄を通して自分のアイデンティティや日本のあり方を見つめ、お前は何者か、日本とは一体何か?と自問します。
そして読者も、日本にいる自分の姿が”沖縄から”どう見えるのか、考えさせられるのです。
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