EV初年度最終戦はテスラ同士の争いで“盟主”が脱落。伏兵の勝利で初代電動チャンピオンに/STCC第4戦

 紆余曲折の変則カレンダーを消化し、9月20~21日にマントープパークで迎えた新生STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の最終戦は、初年度のBEVツーリングカー・シリーズで圧倒的な強さを発揮した『テスラ・モデル3』のブリンク・モータースポーツ陣営でくっきり明暗が分かれる結末に。  ともに年間3勝を挙げたトビアス・ブリンクとジミー・エリクソンに対し、前戦クヌットストープにて初の電動STCC優勝を果たし、静かにタイトル争いに加わったミカエル・カールソンが大逆転で初代チャンピオンを獲得。一方、チーム運営も担うブリンクはレース1で遭遇したアクシデントにより車両修復で時間との戦いを強いられ、チャンスを逸する展開となってしまった。

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新世代EVシーズン、延期代替のダブルヘッダー戦はテスラ・モデル3が完全制圧/STCC第3&4戦

 新時代のBEVツーリングカー・シリーズとして生まれ変わった新生STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権は、本来予定されていたヘルシンボリ港湾地区での開催を「2025年に延期する」としてスキップ。その代替ラウンドが9月13~14日のクヌットストープにて週末2日間で計4レースのダブルヘッダーで開催され、今季より『テスラ・モデル3』を投入するブリンク・モータースポーツ陣営が全ヒートを制圧する結果となっている。

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初の通常フォーマット戦で、テスラのエースが予選と決勝2ヒートを獲り週末完全制覇/STCC第2戦 | 海外レース他 | autosport web

 新型BEV(バッテリーEV)ツーリングカーによる新たな時代の幕開けを迎えた2024年のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権第2戦が、6月28日~29日にユンビヘッド・モートルバナで開催され、ここで電動化時代初の通常フォーマット戦へと回帰。戦前から数多くのラインアップ変更が生じるなか、今季より『テスラ・モデル3』を投入するトビアス・ブリンク(ブリンク・モータースポーツ)が、週末で2回のポールポジションと2度の勝利を獲得し、エースの重責を果たす活躍を演じている。  土砂降りの雨のなかで実施されたヨーテボリ市街地特設トラックでの開幕戦を経て、シリーズはパーマネントコースでの勝負に移行。そのオリンピック公園内臨時トラックではレース・オブ・チャンピオンズ方式の“Head 2 Head(ヘッド・トゥ・ヘッド)”方式で争われたフォーマットも、決勝2ヒートに向けた2回の公式練習と予選2セッションという通常のタイムスケジュールが組まれた。

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全12台の電動ツーリングカー完成。各陣営納車後に即ロールアウト「これまでで最大の前進」/STCC

 新開発BEV車両による次世代チャンピオンシップとして、今季より再出発を切るSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権が、初年度に投入される4車種全12台の生産完了とデリバリーを開始。納入された各モデルはすぐさまシェイクダウンを実施するなど、苦難続きだったシリーズにとって「これまでで最大の一歩」が踏み出された。

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車両製作状況と同時に最後の『フォルクスワーゲンID.3』を披露「これで全4車種が出揃った」/STCC

 今季2024年より満を持して新開発BEV(バッテリーEV)車両による次世代チャンピオンシップに転換するSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権が、初年度に投入される全12台の車両生産と製作が進行するティーザー画像を公開。続く3月29日には、参戦車種最後の1台となる『フォルクスワーゲンID.3』がアンベイルされた。  すでに全4車種の内訳がアナウンスされている新生STCCだが、シリーズを代表する強豪PWRレーシングは“PWRクプラ・スウェーデン”として新型『クプラ・ボーン』を投入。同じくライバルのブリンク・モータースポーツは『テスラ・モデル3』を走らせ、TCR時代から参画するエクシオン・レーシングは『BMW i4』を、そして当初予定では新興チーム・オートラウンジ・レーシングが走らせる予定ながら、現状参戦チーム未定へと変化した『フォルクスワーゲンID.3』の4車種が新たな電動チャンピオンシップに挑む。

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