転校先で涙が止まらなかった…福島県伊達市を離れた15歳の少女が感じた「原発事故なんてなかった」という空気
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福島市に隣接し、原発から約60キロ離れたこの都市に、山を越えて放射性物質が降り積もった。
避難先に待っていたのは、放射性物質が降り注ぐことのない気持ちのいい青空ではなく、福島原発事故など対岸の火事、否、それどころか、まるで事故などなかったかのような世界だった。
声をかけられるのは、こんなことばかり。「そんなこと(原発事故)より、勉強に集中しましょう」「いつ(福島に)帰るの?」「もう、大丈夫なんでしょう?」。「早く学校に慣れてくださいね」とも言われた。酷暑に「メルトダウンしそうだね」と笑いを取る教師。
15歳の少女が見せられたものは、「子どもを守らない」大人たちの偽善に満ちた顔だった。社会も大人も正しいと思い込んでいたかつての中学生は、以前と同じ地平に立ち戻れない。歴然とした大人への不信、社会への大きな疑問が、心に渦巻いていた。