#太宰治賞 の最終候補にもなったことのある後輩の #高本葵葉 さんも #ことばと新人賞 の最終候補に!
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【第4回ことばと新人賞最終候補作】高本葵葉「ぬけがらホテル」|書肆侃侃房 web侃づめ|note

ぬけがらホテル 高本葵葉 1  死んでしまってから、僕はどこへ行けばいいのかわからなくなり、ひとまずホテルのシングルルームに身を落ち着けることになった。駅からも市街地からも離れた場所にある築四十五年のビジネスホテルで、格安の長期滞在プランと地下の大浴場を売りにしていた。  自分でそこを滞在先として選んだわけではない。選んだのは父親だ。自宅から車で十分ほどの距離にある国道沿いのファミリーレストランで、僕らは今後のことについて話し合っていた。ホテルにやって来るつい数時間前のことだ。  「家に戻るのは無理だろうね」  僕がそう言うと、父は頷く代わりに思いやり深く微笑んで見せた。  もち

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