同性婚のない国の、ある窓口。

「制度があるじゃん」と、よく言われる。
でも、その証明書を渡す側は知っている。

受け取った二人は、手を取り合って泣いた。
本当のことは、言えなかった。

この紙に、法的な力は何もない。

相続もできない。控除も受けられない。
遺族年金さえ、受け取れない。
隣の市へ引っ越せば、効力すら消える。

渡したのは、約束ではなかった。
ただの「お願い」の紙だった。