短命の花|Deadly_Poison

 長く冷たい雨がようやく上がった。夜明け前の空は、洗い清められた瑠璃色に澄み渡り、地上のすべてが静かな呼吸を取り戻している。アスファルトの匂い、湿った土の香り、そして微かに混じる春の兆し。それらが混ざり合った空気が、街全体を優しく包み込んでいた。  温かい光の筋が、天頂から地上へと向かってゆっくりと伸びていく。  門が静かに開かれていく。そこから姿を現したのは、一頭の雄々しい獅子だった。陽光を編み込んだかのような金色の鬣を持つその獅子。獅子王の入場である。  風の妖精たちはフーッと音を立てて地上へと舞い降りてきた。彼女らは楽しそうに囁き合いながら、街の隅々へと散らばっていく。  獅子王

note(ノート)