原発が資本主義経済の生産施設として特殊なのは、事故を起こしても賠償の責任を保有企業(電力会社)が負わないことです(原子力賠償責任法)。同じ電力会社でも、火力・水力発電所が事故を起こせば賠償責任は電力会社にあります。特定の企業、特定の生産施設にだけ政府が補助金を出すのと同じです。
原発が資本主義経済の生産施設として特殊なのは、事故を起こしても賠償の責任を保有企業(電力会社)が負わないことです(原子力賠償責任法)。同じ電力会社でも、火力・水力発電所が事故を起こせば賠償責任は電力会社にあります。特定の企業、特定の生産施設にだけ政府が補助金を出すのと同じです。
政府・東電が「汚染水タンクの置き場がない」と言っているのは福島第一原発の敷地3.5平方キロの内側だけの話です。その周囲には渋谷区より広い17平方キロの中間貯蔵施設がある。そこを使えばよい。少なくても2023年に海洋投棄する必要はなかった。
放射性物質で汚染された水の処理は
①スリーマイル島原発事故では自然乾燥・蒸発
②サバンナーリバーなどアメリカの核施設ではコンクリートで固化して地上保管
で安全を確保しています。
燃料棒に直接触れた汚染水を海洋投棄などという愚行をやるのは日本が初めてです。
経産省の検討小委員会は
①は言及するものの明確な理由なく却下。
②は議題にすら上がらず
で海洋投棄を決めてしまったのです。馬鹿げています。他に方法はいくらでもある。
さらに馬鹿げているのは、②のコンクリート固化(モルタル化)は他ならぬ福島第1原発事故で出た放射性廃棄物の埋め立てに使われているという事実です。10キロ離れた富岡町にある「リプルンふくしま」で放射性物質に汚染されたごみの埋立処分について説明されてます。
そんなバカな、と思うあなたはこれをご覧なさい。福島第一原発から10キロ南で放射性廃棄物のモルタル固体化と埋め立てが始まっていますから。
つまり日本政府は「自然蒸発」「コンクリートによる固形化」という「海洋投棄をせずに済む方法」があることを知っていながら、わざわざ海洋投棄という方法を選んだということになります。これは後々、猛烈な非難を浴びるでしょう。
なぜ「自然蒸発」「コンクリート固化」とちがって「海洋投棄」が最悪の悪手であるかというと、これまで国内問題にとどまっていた福島第1原発事故の汚染を、多国間の国際問題にしてしまうからです。国際政治的にクライシスレベルが一つ上がります。環境議論は置いても、政治的に最悪の悪手です。
「自然蒸発」でも「コンクリート固化」でもなく「海洋投棄」をたいした議論もせず、情報公開もろくにせずに決めてしまったという時点で、またしても日本政府のクライシスマネージメント(危機管理)能力がおそるべき低能であることがわかります。