自創作のイベントをやりたいな~!(?)と思い企画をしました

すこし先の日程になりますが、よろしければ遊びに来てください!
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巡里廻presents
『Invitation from Roxburghii』
日程:2025年6月1日(日)〜6月7日(土)
会場:pictSQUARE内 MYスクエア特設会場
自創作『ロクスブルギーの棺』シリーズの個人開催(ひとりオンリー)
イベントです。
今回のテーマ:『春のカフェ』
カフェ風衣装のロクスブルギーとルーが皆様をおもてなしします

新作グッズの頒布やイベントメインビジュアルほか新規イラストの展示、
イベント期間限定のネットプリントを数種公開予定。
続報は随時当アカウント(@meguru_limited)にてお知らせいたします。
お楽しみに!
※イベント頒布のグッズは期間終了後に一時非公開となりますが、残部がある場合適宜再公開されます。
完全なイベント限定品ではありませんが、在庫が無くなり次第終了となります。
予めご了承ください。
・SpecialThanks! はすみ様( @Mon0cer )
pictSQUARE用マップ画像制作、コラボカフェ風メニューデザイン原案等
デザイン面の監修をご依頼しました。感謝!某合同誌に寄稿させて頂いたイラストです(※一般頒布なし)


原寸サイズはクロスフォリオにでご覧ください! 粗がいっぱい見える!
https://xfolio.jp/portfolio/meguru_limited/works/4114892
合同誌寄稿イラスト - Grun-2
合同誌に寄稿させて頂いたイラストです(※一般頒布なし)。
Grun-2※自創作の掌編です。初見バイバイ感があります。広義のBLではある。共同生活一日目っぽい感じ。雰囲気でお楽しみください。
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『物語の幕を開けて』
忌々しいことだが、美しい夜は必ず明け、朝が来る。おそらく、世界が始まった時からそのようになっていて、これから先も変わることはない。それを何百年と眺めていれば次第に、地平を染める太陽を憎たらしく思うことも、去りゆく夜を嘆くこともなくなって、なんの感慨も湧かなくなる。これは、仕方の無いことだ。延々と続く生の苦痛を紛らわせる代償に、幸せも喜びも薄らいでいく。全てを幕間のように感じることが、この命には必要だった。だから、そのように適応しただけ。そうでなければ、時が齎す摩耗に、とても耐えられはしないからだ。
「――おはよう、ロクスブルギー」
薄暗いソファで横たわり、人間の真似事をして目を伏せていると、そのように呼びかける声がある。瞼を持ち上げると、薄青色の瞳と出会った。それは快晴の空の色のようでもあり、夜空に明るく輝く星の色にも似ている。この家の主――ルー・ループス・カウフマンは、気難しげな表情を和ませて一転、人懐こそうな笑みを浮かべた。
「仕事に行ってくる。家のものはなんでも自由にして構わないから、存分に寛いでくれ」
「ああ、いってらっしゃい」
そう返すと、彼は機嫌が良さそうに頷いて仕事に向かった。悲しいかな、人間は生命を維持するために食事を摂らねばならず、故に、社会と金銭と労働から逃れることができない。『吸血鬼(ドラクル)』の場合は、血が得られなくとも、餓え続けるだけで死にはしないから、そうしたことに縛られる必要は無い。血を得る方法は――人間的な倫理や法規や良識を無視するなら――いくらでもある。果たして、どちらが幸せなのかは諸説ありそうだが。
さておき、同居人が出かけていってしまったので、これまでの生活と変わりないひとりの時間が訪れた。退屈は、終わりない生の厄介な伴侶である。ひとまず、家主と取り決めた通り、家の掃除でもしてみるかと身体を起こす。
日の出ている時間に動くのは何故こうも辛いのか。何百年経っても、この謎は解けることがない。柄の長い箒を手に一部屋一部屋、床を掃いてまわる。家の中は、生活するにあたり快適な程度の家具があるほかは、あまり物が無い印象だった。昼夜問わず、仕事に出ているためだろう。かといってまるで放置しているというわけでもないようで、さほど大きな埃やしつこい汚れはなく、この仕事は割合簡単に終わった。さすがに、共に生活するにあたり一番最初に掃除当番について提案する男なだけあって、きちんとしているということなのだろう。
掃除を終えたところで着替えたくなり、ふと手持ちの服がないことに気付く。『吸血鬼』は汗をかかない。故に、別の要因がない限りは服を変える必要性があまりない。そもそも、服自体があくまで、人間を中心として形成された社会通念上、必要があって着ているだけである。埃っぽい服を着ているくらいならいっそ裸でもいい――室内ならば日光に晒されることもない――のだが、さすがにそれはあまりにも野生すぎる。少なくとも人間と何十年か共にするのだから、そのあたりは配慮してやるべきだろう。「なんでも自由にしていい」と言った彼の言葉に則り、彼の持っているものを拝借することとした。
さほど大きくもないクローゼットを開けると、そこにはいくつかの服がかけられている。どれも飾り気はなく実用的で、彼の今現在の生活を象徴しているようだった。一枚のシャツを取り出し袖を通すと、自分の着ていたそれより、どこもかしこも一回り大きい。余った袖を折りながら、かつての彼の姿を思い出す。
彼と最初に会ったのは、二十年前。数百年生きている身からすれば、ついこの間と呼んでも差し支えない、少し前のことだった。まだ両手の指で事足りる年齢のルー少年はやや小柄なくらいだったが、今はこちらの背丈も超え、堂々とした体格の大人になった。大きくなったものだ。改めて、二十年という時間は人間にとって短くなかったのだと思い知る――その間ずっと吸血鬼を探していたということもまた、同様に。
日差しが強い時間帯を室内で凌げるのは、大変快適だ。少し前までは空き家で勝手に休ませてもらっていたが、今は家主に招かれて堂々と居座れる身分であるので、なおのこと快適である。日が傾き始めた頃、彼は多分帰ってきたら食事を摂るだろうなということを考える。――作ってやろうか、暇だし。彼とはこちらの食事として、定期的に血を分けてもらうことを約束している。彼には健康でいてもらわなくてはならない。血の品質のためにも、彼自身の幸福のためにもだ。
最後に料理をしたのはいつのことだったろう。あるいはその『血識(ちしき)』があるだけで、実際にしたことは無かったかもしれない。それすら曖昧なほど、料理とは縁遠い。吸血鬼は血以外の食事を必要としないからだ。彼の部屋の本棚から、料理の作り方らしい本を引っ張り出し、今ある食材で作ることができそうなメニューを探す。具材を切って煮込むだけなら簡単だろう。書いてある通りに難なく作業を進め、そして味見のひと匙を口に運んで――首を捻る。果たしてこれは、この料理の正しい味なのだろうか? 人間と自分の味覚が同じかどうかを、確かめたことはなかった。とんだ行き当たりばったりだと、できあがった食事を皿に盛りつけながら思う。
飽きるほど、生きてきた。それでも、よくもまあ経験の無いことや想定外のことが起きるものだ。自分のことを、探し続けていた人間がいたように。
――本当に、馬鹿な子だな。
空虚だった胸のうちに去来する様々な感情が、緞帳の向こう側のように思えていた世界が確かに、ここにはある。彼が二十年のうちに犠牲にしてきたものを思えば、手放しで喜んではいけないだろうが――
ドアの開く音。そわそわと近付いてくる足早な音。それに振り返って、これまでに数えるほどしか口にしたことがないような、そんな言葉を口にする。
「――おかえり」
なんだかどうにも、言い慣れなくて変な感じがする。けれど、彼が嬉しそうだからなんでもいい。
僕も――それを嬉しいと思うからだ。
クロスフォリオにロク棺ファンアート本の寄稿イラストを投稿しました

書籍の方は完売となっております! ありがとうございました!
https://xfolio.jp/portfolio/meguru_limited/works/4068782
ファンアートブック寄稿イラスト - Grun-2
はすみ様(https://xfolio.jp/portfolio/Mon0cer)制作のロクスブルギーの棺ファンアートブック『十六夜薔薇に捧ぐ』に寄稿させて頂い...
Grun-2FANBOXを更新しました!『ロク棺』新章開始のお知らせです

https://meguri-meguru.fanbox.cc/posts/9540930
個人サイトいっぱい見て欲しいから今回は個人サイトにそのまま更新していきます(?
【新章公開】ロクスブルギーの棺 『シャグラン・ダムール』1.月下のソリスト|巡里廻|pixivFANBOX
お世話になっております。巡里廻です。
タイトルの通り、『ロクスブルギーの棺』の新章『シャグラン・ダムール』の第一話を個人サイトにて公開しました!※R-18作品ですのでご注意ください。
アバンタイトル的な短い導入です。これまでとちょっと違う雰囲気と、そしてこれから展開される話へ思いを馳せて頂けたなら幸いで...
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