ゾンビはごめんだ。|Deadly_Poison

 「……次に、朝日テレビさん、どうぞ」。  弛緩しきった空気が漂う記者会見場。僕、蒼井翔太(あおい しょうた)は、ノートPCの光に照らされながら、その光景を呆然と眺めていた。大手企業のデータ改竄問題。社会を揺るがすはずの大事件だというのに、壇上に立つ役員たちの表情には、安堵の色すら浮かんでいる。  無理もなかった。質問する記者たちが、まるで申し合わせたかのように同じことしか聞かないのだから。  「今回の件に関し、改めて社長の謝罪の言葉をお願いします」。  「再発防止策について、もう一度ご説明いただけますか?」。  それは質問というより、儀式のようだった。事前に用意された原稿を読み上げる

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