#202305ns コロナ後遺症 脳神経への深刻なダメージ

S.サザーランド(科学ジャーナリスト)。大勢の人々がいまだに感染の後遺症に悩んでいる。その症状をもたらしている神経学的な原因が明らかになってきた。

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#KeyConcepts 過剰な免疫応答が神経系を害する可能性

▪️新型コロナウイルス感染症から回復した後に体調不良が長く続く例が多い。米国では昨年2月時点で約1600万人の成人が後遺症を患っていたと推定され、いまだ職場復帰できていない人も多い。

▪️長期症状のほとんどは神経の不調によるもので、多くの人が「ブレインフォグ」などの形で認知機能不全を経験している。痛みや極度の疲労などの身体的な症状も自律神経系の不調に由来すると考えられる。

▪️ウイルス感染を引き金に脳で免疫細胞が過剰に活性化し、神経系を害しているようだ。そうした詳細を把握できるようになり、治療の道が見え始めている。

#202305ns コロナ後遺症 脳神経への深刻なダメージ

いわゆる「ロングCOVID」は、専門家の間では「新型コロナウイルス急性感染後後遺症(PASC)」と呼ばれている。ワクチン接種はリスクを下げるようだが、完全には防げない。

「ウイルス感染後症候群」は新しいものではない。HIVが神経系に及ぼすダメージの研究が、コロナ後遺症に対する取り組みの指針になっている。

コロナ後遺症の多くの症状が脳と神経系を通じて生じている可能性が認識されたことで、治療の道筋が見えてきた。

#202305ns コロナ後遺症 脳神経への深刻なダメージ

ある研究では、COVIDで神経症状を呈している患者の場合、特に中枢神経系で免疫系の活動が高まって炎症が生じていることを見出した。ただし脳の炎症は、おそらくこのウイルスが脳に直接感染した結果ではない。

COVIDの死亡患者を剖検した結果、「脳に大量のウイルスはないのに、免疫が活動した後が数多く見られた」。特に血管の周囲が激しい。これらの結果はマクロファージの活動が刺激されていたことを示唆していた。「マクロファージは狙いを正確に定めた攻撃はしない」。じゅうたん爆撃のような攻撃で、周辺は大きなダメージを受けることになる。

#202305ns コロナ後遺症 脳神経への深刻なダメージ

肺の外にもSARS-CoV-2が存在している初の確かな証拠は #2021y 、シンガポールの研究チームによってもたらされた。COVIDから回復した5人の患者の腸にウイルス由来のタンパク質を発見した研究で、回復の6カ月後に見つかった例もあった。

#202212m のNature誌に報告されたNIHの研究によると、新型コロナウイルスは脳に何カ月も残留しうる。44人のCOVID死亡患者を剖検した結果、激しい炎症を起こしていたのは主に気道だったが、脳を含め全身にウイルスのRNAが検出された。