今季全試合フル出場ーーJ1首位に立つFC町田ゼルビアを牽引している日本代表の中山雄太インタビュー。前編では、昨夏5年半ぶりに欧州の舞台からJリーグに戻った“理由”を明かした。〈NumberWebインタビュー全2回の前編/後編へ〉審判へのアクションの理由 少々大袈裟に申すなら、大義に基づいてのアクションであった。 4月6日、FC町田ゼルビアが町田GIONスタジアムに迎えた川崎フロンターレとの一戦。中山雄太は前半を終えると、そっと審判団に近づいていった。抗議の類ではなく、熱くなっているわけでもなく。取材エリアでそのワケを尋ねると、彼は言った。「ウチもフロンターレも、ファウルじゃないのがファウルになって、ファウルなのがファウルじゃなくなっていると感じたので『もうちょっと基準をしっかりしてほしいです』という話をしただけです。単純に(選手サイドと)認識が違うなという思いがありましたから」ADVERTISEMENT ウチもフロンターレも、と相手のことまで含んでいるのがミソ。いい試合にしていくため、もっと言えばいいJリーグにしていくため、という彼の行動基準が透けて見える。 昨夏、彼は欧州から5年半ぶりにJリーグの舞台に戻り、昇格即優勝を目指す町田に加入した。しかし程なくして右膝内側側副靭帯損傷で長期離脱の憂き目に遭う。本格的なリスタートとなっているのが今季であり、ポリバレントの人は左ウイングバックで躍動して日本代表にも追加招集された。代表に合流する前に実施したインタビューでは、あらためて日本に戻ってきた経緯から尋ねることにした。「ずっと欧州でやっていきたいという気持ちはありました。ただケガが続いている現状、再びそのリスクがある以上、その選手を獲るのはそりゃあ怖いよなって、踏ん切りをつけなきゃいけないなって。いくつかのクラブから声を掛けてもらっていたなかで優勝争いをしていた町田には新しい歴史をつくっていくチャレンジを感じましたし、自分も進化していくには今までとは比較的違うようなサッカーで学びを得て、優勝したいとの思いがありました」「Jリーグ自体を変えていきたい」 オランダ1部ズヴォレで3シーズン半、イングランド2部ハダーズフィールドで2シーズン過ごし、充実期にある27歳にあって欧州を去る決断は簡単ではなかった。そのためにはもっと大きな目標を心に宿す必要があった。 中山は言った。 【次ページ】 「Jリーグ自体を変えていきたい」