芥川賞候補作「ハンチバック」作家・市川沙央さん 重度障害の当事者として描く
“ 近年、介護者や、きょうだい児や、ヤングケアラーといった、障害者を支える側に光が当てられる傾向が拡大していて、もちろんそれはとても良いことで大切なことなのですが、その一方で相対的に支援を受ける側の障害者がやっかいなものとして大衆の意識の中で悪魔化、怪物化されていくのではないか、という懸念があります。”
芥川賞候補作「ハンチバック」作家・市川沙央さん 重度障害の当事者として描く
“ 近年、介護者や、きょうだい児や、ヤングケアラーといった、障害者を支える側に光が当てられる傾向が拡大していて、もちろんそれはとても良いことで大切なことなのですが、その一方で相対的に支援を受ける側の障害者がやっかいなものとして大衆の意識の中で悪魔化、怪物化されていくのではないか、という懸念があります。”
「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」歴史ある文学賞のひとつ、第128回文學界新人賞を受賞し、第169回の芥川賞も受賞した話題作「ハンチバック」。重度障害者の主人公が、グループホームの一室からあらゆる言葉を送り出す様を、ユーモアを交えながらも鋭い言葉で描く作品です。作者は、みずからも重度障害者の市川沙央さん(43)。文学界では非常に“珍しい”重度障害当事者の作家として、今回、みずから初の純文学に挑みました。強く響く言葉の数々…、市川さんはこの作品にどんな思いをこめたのでしょうか。