『鬼滅の刃』リバイバルは不発 「入場者特典のスクリーンへの侵入」は今後定着するか?Real Sound|リアルサウンド「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」リバイバル上映の入場特典で「煉獄零巻」が復刻 応援上映の開催も決定(映画.com)Yahoo!ニュース「鬼滅の刃」劇場限定予告が盗撮され流出、台湾ネット「まだ限定とか笑える」「日本のアニメーターは大変」(レコードチャイナ)dメニューニュース『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』リバイバル上映、入場者特典第2弾「煉󠄁獄零巻 -リバイバル-」配布決定!アベマタイムズ「鬼滅の刃」無限列車編、リバイバル上映の入プレ第2弾は新仕様の「煉獄零巻」ナタリー
前週のトップ3がそのまま新作に入れ替わった3月第2週の動員ランキング。初登場1位となったのは『映画ドラえもん』シリーズ45周年記念作品、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』。オープニング3日間の動員は57万1000人、興収は7億300万円。昨年3月に公開された『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』とのオープニング興収比は107%と、45周年にして、再びフランチャイズが上昇傾向にあることを証明する数字を叩き出した。おそるべし、ドラえもん。 そんな『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』に週末成績で肉薄し、まだ子供たちが春休みに入る前ということもあるが、ウィークデイではトップを独走しているのが2位に初登場した『ウィキッド ふたりの魔女』。オープニング3日間の動員は32万1000人、興収は5億1900万円。実写外国映画のオープニング興収が5億円を超えるのは、昨年の『デッドプール&ウルヴァリン』以来約8ヶ月ぶり。『デッドプール&ウルヴァリン』の最終興収は21.2億円に終わったが、スーパーヒーロー映画の常で初動型の興行だった。一方、『ウィキッド ふたりの魔女』は日本で当たればロングヒットになりがちなミュージカル作品。先日授賞式が開催された第97回アカデミー賞では、10部門にノミネートされながら、衣装部門、美術デザイン部門の2部門受賞にとどまったが、作品評価も極めて高いだけに、実写外国映画としては久々の興収30億円超えも狙える好スタートだ。 日本の観客の中には、上映時間が2時間40分あるにもかかわらずストーリーがクライマックスに入った途端に終わることに驚いた人もいると聞くが、同名のブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品である『ウィキッド ふたりの魔女』は2部作の1作目で、2作目の『Wicked: For Good(原題)』の撮影も『ウィキッド ふたりの魔女』と同時に行われたので既に終了している(現在はポストプロダクション作業中)。『ウィキッド ふたりの魔女』の北米公開は2024年11月22日、次作『Wicked: For Good』の北米公開はちょうどその1年後の2025年11月21日。日本での『ウィキッド ふたりの魔女』公開は、世界の主要マーケットの中では最も遅い約4ヶ月後になったわけだが、それが次作の日本公開日にどのように影響するかについてはまだ発表されていない。 もっとも、『ウィキッド ふたりの魔女』は日本公開を遅くしたことで、アカデミー賞関連のプロモーション活動が始まる前にシンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョン・M・チュウ監督が来日しての周到なプロモーション活動が可能になったわけで、今回のスマッシュヒットを受けて、配給&宣伝サイド的には「成功例」と位置付けられることになるだろう。■公開情報『ウィキッド ふたりの魔女』全国公開中出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、ボーウェン・ヤン、ピーター・ディンクレイジ、ミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラム日本語吹替版キャスト:高畑充希、清水美依紗、海宝直人、田村芽実、入野自由、kemio、ゆりやんレトリィバァ、塩田朋子、大塚芳忠、山寺宏一、武内駿輔ほか日本語吹替版スタッフ:三間雅文(台詞演出)、蔦谷好位置(音楽プロデューサー)、高城奈月子(歌唱指導)、吉田華奈(歌唱指導)監督:ジョン・M・チュウ製作:マーク・プラット、デヴィッド・ストーン脚本:ウィニー・ホルツマン原作:ミュージカル劇『ウィキッド』/作詞・作曲:スティーヴン・シュワルツ、脚本:ウィニー・ホルツマン配給:東宝東和©Universal Studios. All Rights Reserved.公式サイト:https://wicked-movie.jp/『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/ 宇野維正 Follow on SNS 映画・音楽ジャーナリスト。米ゴールデン・グローブ賞国際投票者。映画誌やファッション誌での連載のほか、YouTube「MOVIE DRIVER」、Podcast、主催イベントなどでも精力的に活動。著書に『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)、『くるりのこと』(くるりとの共著、新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(レジーとの共著、ソル・メディア)、『2010s』(田中宗一郎との共著、新潮社)、『ハリウッド映画の終焉』(集英社新書)。最新刊『映画興行分析』(blueprint)2024年7月刊行。 宇野維正の記事一覧はこちら