> 収奪(expropriation)または採取・抽出(extraction)という言葉を聞いて私が連想するのは、セバスチャン・サルガド自身が「労働者への讃歌」だと言った写真集『人間の大地 労働(Workers)』のモノクロームの世界だ。特にサルガドが一九八六年にブラジルのパラ州セーラ・ペラーダの金鉱で撮った一連のショットは肉体労働の世界を独特の耽美主義的感覚でフレイミングしていて見る者に強い印象を残す。露天掘りの鉱山で泥まみれになって働いている労働者の肉体の塊が目の前に迫ってくる感じだ。「泥の豚」とも呼ばれる、その異様な姿は、ある意味で「人間による人間に対する収奪」そして「人間による人間以外の自然に対する収奪」といった二重の収奪を体現しているようにもみえる。その典型的とも言える二重収奪の光景は四半世紀前の過去形として終わった訳ではなく今でも彼方此方で現在進行形として見ることができるのではないだろうか。
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