極超病原体グダペスト|Deadly_Poison

 最前線の空は、鉛色ではなく、羽音で埋め尽くされていた。ブーンという低い唸りが、死神のハミングのように大地を覆う。 オオスズメバチの群れだ。彼らは泥濘に足を取られ、右往左往するドブネズミの群れを見つけるや否や、容赦なく襲い掛かる。  悲鳴ごときでは止まらない。かつて我が物顔で他人の土地を荒らし回ったドブネズミたちは、今や恐怖に震えるただの肉塊となり、次々と粉砕されてゆく。  堕天使ババヤは戦場に審判の種を蒔き。瞬く間に芽吹かせ、紅蓮の花を咲かせ、汚らわしい害獣たちを焼き尽くしてゆく。そこには慈悲などない。あるのは因果応報のみ。  地上を見れば、狼たちが戦場を疾走していた。ゾクの巣を見つ

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