
本番に限って最悪のパフォーマンスになってしまう理由 - ナゾロジー
サッカーのPK戦やピアノコンクール、そして就職の最終面接など、私たちの人生にはその後の報酬量に決定的となる、重要な瞬間が存在します。
しかし「オリンピックには魔物が潜む」と言われるように、私たち人間はしばしば「最も重要な瞬間」に最悪のパフォーマンスに陥ることが知られています。
これは単なる偶然ではなく統計的にも示されており、試合終了間近のバスケのフリースローなど、重要性が極めて高い場面で選手たちの成功率が低下することが示されています。
米国のカーネギーメロン大学(CMU)は、このような莫大な報酬を前にした際のパフォーマンスの悪化が、どのような仕組みで発生するかを人間に近いサル脳を用いて調査し…
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キノコで動くコンピューター「シイタケRAM」誕生 - ナゾロジー
アメリカのオハイオ州立大学(OSU)で行われた研究によって、シイタケの菌糸が、電子回路のなかでコンピューターのメモリー装置(RAM:揮発メモリ)として動作が示されました。
このシイタケメモリは最大で毎秒5850回(5.85kHz)もの電気信号を書き換え、その精度は約90%(±1%)に達しました。
さらに驚くべきことに、このデバイスは乾燥させた状態で保存でき、再び水を吹きかけるだけで機能が復活することも確認されています。
これは人口シナプスなど脳の仕組みを真似た次世代コンピューター(ニューロモーフィック)の実現に向けた有望な成果とされています。
キノコでできたメモリー素子は、果たして本当に未来…
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脳電極で「慢性的な痛み」を救う方法が開発された - ナゾロジー
アメリカのカリフォルニア大学で行われた研究により、脳に埋め込んだ電極によって、脳が痛みを感じるタイミングを自動的に検知し、その瞬間だけピンポイントで刺激するという画期的な治療法が慢性痛に効果的であることが示されました。
この装置は患者さんごとに異なる「脳の痛み信号」を監視し、痛みが出そうになった瞬間だけ「スイッチ」を入れて刺激を与えます。
これにより、患者の痛みは平均で約半分まで減り、中には「痛みがほぼ完全に消えてしまった」という報告もありました。
さらに効果は最長で3.5年にも及び、長期的な改善もみられることがわかりました。
脳に直接働きかけるこの「オーダーメイド型の脳深部刺激療法(DBS…
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脳電極により男性は数十年ぶりに喜びを体験した - ナゾロジー
アメリカのミネソタ大学(UMN)で行われた研究により、30年以上も重いうつ病に苦しみ、「喜び」という感情を何年も失っていた男性が、ある日突然、脳への電気刺激によって長年失われていた「喜び」を感じて涙を流したことが報告されました。
この画期的な治療法は、脳の精密なネットワーク地図をつくり、「ネットワークの境界線」に電極を設置することで実現しました。
男性は刺激された直後、「気持ちがいい。不思議な感じだ。感情が溢れる…。これは喜びだ」と表現したといいます。
うつ病は人によって脳の回路の状態が違うため、同じ方法で治療をしても効果にばらつきがありますが、今回の研究は一人ひとりの脳の違いに応じた「オー…
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身体で「音のない重低音」聴く技術を開発 - ナゾロジー
日本の筑波大学(University of Tsukuba)で行われた研究によって、音を一切漏らさずにライブ会場さながらの“腹にズンと来る”重低音を再現する新技術「EMSサイレント・重低音専用スピーカー」が開発されました。
従来の重低音専用スピーカーといえば大音量で家全体を揺らすもので、迫力はあっても近所迷惑や防音コストの問題が避けられません。
しかし、このシステムは筋電気刺激(EMS)を利用して腹部の筋肉を電気で収縮させ、まるで低音が身体の中から響いてくるような感覚を生み出します。
しかも研究では繰り返し使うほど違和感が減り、 “慣れ効果”まで確認されリズム認知で有意、さらに一体感で優位傾…
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ラットをひたすらくすぐる過酷な研究で「笑いと遊び心の中枢」を探す - ナゾロジー
笑いと遊び心は先天的な特質として、我々の脳に元から備わっているようです。
ドイツのベルリン・フンボルト大学(HU Berlin)で行われた2023年の研究によって、ラットの脳内に「笑いと遊び心」を制御する脳回路が発見されました。
この脳回路はラットが笑い声をあげながら遊んでいるときに顕著に活性化しており、脳内に刺し込んだ電極から活発な信号が観測されました。
一方、この脳回路を破壊したところ、ラットはくすぐられても笑い声をあげなくなり、遊びに対する興味が失われてしまいました。
研究者たちは「遊び」は怒りや恐怖と同じく、専門の脳回路が存在する本能的な行動であり、人間を含む他の動物にも同様の仕組み…
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サイボーグ昆虫、大量生産時代へ - ナゾロジー
シンガポールの南洋理工大学(NTU)で行われた研究によって、生きた昆虫に電子デバイスを背負わせ、外部から自由自在にその動きを遠隔操作できる「サイボーグ昆虫」を大量生産する技術が開発されました。
これまでサイボーグ昆虫の製作は、人間の熟練技術者が手作業で慎重に行う必要があり、1体あたり約15分も要していましたが、今回開発された新技術は、AIを搭載したロボットアームと画像認識技術によって、昆虫の体に電極を差し込む最適なポイントを瞬時に特定し、正確に電子機器(バックパック)を装着することを可能にしました。
その結果、1体あたりの作業時間はわずか約1分8秒にまで短縮され、従来に比べて約13倍ものスピ…
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首を電気刺激することで脳を活性化させるデバイス登場 - ナゾロジー
軍隊、医療、交通に関連する仕事は集中力を要する業務であり、睡眠不足や疲労が重大な影響を与えます。
コーヒーやエナジードリンクによるカフェイン摂取は一時的な覚醒をもたらしますが、摂取すればするほどその効果は薄れていきます。
そこで、アメリカ・オハイオ州の防衛技術会社Infoscitexに所属する心理学者リンジー・マッキンタイア氏ら研究チームは、睡眠不足でも集中力を向上させる別の方法を見つけました。
市販の機器で首を電気刺激するなら、カフェインよりも高い効果を生み出せるというのです。
研究の詳細は、2021年6月10日付の科学誌『Communications Biology』に掲載されました。
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水からウランを抽出する新手法を開発 - ナゾロジー
海水から核燃料のウランを手軽に取り出せるとしたら――そんな夢のような技術が現実に近づいています。
中国の湖南大学(HNU)で行われた研究によって、超希薄な海水中のウラン(約3ppb)を電気化学的に一気に取り出す画期的なシステム「Bipolar EUE」が開発されました。
必要な電圧はわずか0.6ボルトと低く(単三電池の電圧1.5Vの半分以下)、模擬海水中でほぼ100%回収、天然海水でも85%以上の選択的回収を示しました。
またエネルギー面でも従来法に比べ25~1000倍の省エネを実現し、ウラン1kgを集めるにあたり約83ドルにまで低減しました。
もしこの技術が普及すれば、ウランは海から採取す…
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脳波検査の常識を覆す「髪の毛」みたいな極細電極が開発される - ナゾロジー
脳波(EEG)検査と聞いて、あなたはどんな光景を思い浮かべるでしょうか?
おそらく多くの人が、太い電極をびっしり貼りつけられた、まるでマスクメロンのような網目状の頭を想像することでしょう。
しかしそんなスタイルが、大きく塗り替えられようとしています。
アメリカのペンシルベニア州立大学(Penn State)を中心とする研究チームが、人の髪の毛そっくりな形と質感を持つ新型EEG電極の開発に成功したのです。
この電極は、見た目も装着感も限りなく「髪の毛」に近く、性能面でも従来型を凌駕する可能性を秘めています。
研究の詳細は、2025年3月18日付で科学誌『npj Biomedical Innov…
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